Take It Eazy ~Lovely Day~

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キミノアシオト その4 キミノテノヒラ



 
~キミノアシオト~ その4 キミノテノヒラ

『どりーむホール』を退場後、
いよいよお待ちかねの記念撮影である。

  スタッフの指示を受けて、順番決めの番号紙の裏にあて先を書いて、提出箱に入れた。
後日、記念写真が送られるためだ。

  最初僕は、槇原さんとの記念撮影は入場者全員一緒でと思っていた。
が、それはもちろん大きな勘違いで、
番号順に10人をひと集団で撮影と説明があった。

  差し入れの例の缶コーヒーを飲みながら、撮影を待つ。
たぶんみんな、ワクワクドキドキだったであろう。
番号が23番だったので、3回目の記念撮影に参加。

 少し歩いたら、撮影現場があり、
そこにはスタッフと話しをしながら、
撮影を待つ槇原さんご本人がいた。
アンコールの衣装のままで、疲れた顔を見せずに、
リラックスしてファンとの交流を楽しんでいたようだった。
翌年になって気がついたけど、
その時の衣装や髪型は、『足音』のビデオクリップでも登場していた

前列の中央に槇原さん。そしてその周りを入場者なのだが、
このグループでは
オトコは僕をふくめて3人。当然一番後ろの列に立った。

例の缶コーヒーを持ちながら、
マッキーの側に立つ女性ファン。

「うらやましいぜぇ~。」

そう思いつつも、落ち着け落ち着いてと自己暗示しながら、はいポーズ!
無事撮影終了。カメラは、急いで次の集団撮影の準備。

 次の撮影待ちの槇原さんは、笑顔で僕らに握手タイム。

  他のファンと同じように、
無自覚に槇原さんの方へ右手を出していた自分に驚きつつも、しっかり握手。
緊張と嬉しさのあまり、感無量になってしまった。
171センチの痩せた自分より少し背が大きく、
がっしりとした体格だから、
やっぱり手も大きかった。
でも割と柔らかめの手のひらだった。
スタッフにこれ以上迷惑をかけないようにと、
挨拶してから退場しようと槇原さんの顔を見ながら、はっきりと。

  「あの、良いお年を。」
 それだけでも嬉しかったのに・・・。

「そちらも良いお年を。」

 僕の顔をきちんと見て言ってくれた。笑顔だった。
 本当に、彼の歌に出会えて良かった。
 そう思った瞬間でもあった。

 僕は軽く会釈をして、出口へ向かった。
おそらく、すごくにやけていたに違いない。
スタッフから、例のドリンク会社の、
コーラのロゴの入った赤い手提げ袋を頂き、
そしてまたひとりで、会場を後にした。
予想通り雨が降っていたので、余韻にひたることもなく、
すぐに宿泊先のホテルまで走って帰った。

  冷たく、でも優しい雨だった。

ホテルに戻り、テレビをつけると、『モンタージュ』が主題歌のドラマ、
『恋の片道切符』の最終回が放送されていた。

  それを見ながら開けてみた手提げ袋の中身は、
『聖火リレー』グッズとともに
、コンサート記念の白いジャンバーが入っていたので、
またにんまり。

その夜、ポケモンがTVで放送中に、
とんでもない騒動が起きたことはまだ知ってはいなかった。

次の日無事東京から戻り、
それから10日あまり経って、写真と記念のスタンドが送られてきた。

  「やっぱり堅くなっているなぁ、オレ。」

  と笑いながら見た写真には、槇原さん直筆のサインが、
銀色のマジックでしっかりと書かれていた。

  100人分、一人一人心込めてサインしていただいたんだなぁ・・・。思わず
、写真の彼に手を合わせていた。

  どんなに大事にしていても、
写真はいつしか無くしてしまうかもしれない。

  でも、あの日の思い出は、生きている限りずっと忘れることはないだろう。

  燃えさかる聖火のごとく

。 本当に、素敵なプレゼントをありがとう!








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