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2007.06.30
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カテゴリ: わくわく児童文学
ついに「守り人シリーズ」の最終巻を読んだ。「夢の守り人」から刊行を追って読んでいたので,7年越しになる。

○ストーリー
新ヨゴ皇国に帰ってきた女用心棒バルサを迎えたのは,南国の帝国の侵略に備え,首都の周辺に砦を築き,田畑は荒れてしまった国だった。しかし首都に最初にたどり着いた軍勢は,隣国ロタとカンバルのものだった。ヨゴ,ロタ,カンバルの連合軍はいよいよ大国タルシュの軍と他事することになるのだが,連合軍を率いるのは?

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シリーズのラストが3部作,というのは思い切ったことをするな,というのと,商業的な判断も働いているのかな?と思った。しかし読み終わってみると,3部作のおかげで,これまでバルサが旅を続けてきた三国それぞれを舞台にすることができたし,彼女が出会ってきた人々とのかかわりをきちんと描くことが出来ている。結果的に,3部作は長く楽しめ,かつ物語の厚みを持たせており,正しい判断だったと思う。

このシリーズで初めて,いくさが描かれている。一兵卒として徴兵されるタンダ,戦火から街を守るバルサ,城砦の攻防戦に加わるチャグム。この作者の筆により,一般の兵隊のこと,近郊の街の人々のこと,そしていくさの後の死体のことが描かれる。ファンタジー作品では,こうした事柄は無視されがちなのに,きちんと描くあたりが上橋菜穂子らしい。

チャグムを主人公にした「蒼路の旅人」のラストから,この3部作までは一つの物語としてつながっている。しかしあのラストをきちんと収束できるとは,正直信じきることができていなかった。それが,北の三国と南の帝国,という大枠をまとめ,皇帝と皇太子チャグム,バルサとタンダの個人の関係もまとめ切っている。それだけでなく,バルサと以前の作品で登場した少女アスラ,チャグムとナユグの生き物,敵側のラウル王子と参謀ヒュウゴなど,細かい伏線やきずなを取りこぼさずに描いており,感服させられた。

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30才代も半ばの女用心棒バルサは,決して口数の多いキャラクターではない。若者のように必要以上に思い悩むこともないので,イキオイ無愛想な主人公になってしまう。その内面を上橋菜穂子は,少女アスラをただ抱きしめるシーンや,タンダの腕を治療するシーンで,セリフではなく,行動を描くことでうまく表現していると思った。



ただし,もちろんそんな僕の個人的な印象など関係なく,このシリーズは最後まで高い完成度を維持したまま結末を迎えてくれた。それは本当に祝うべきことだと思う。

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「旅人シリーズ」以降,キャラクターとして成長した皇太子チャグムに対し,30才のベテラン用心棒だったバルサは,その分年令を感じている。母子のような関係でもある2人だが,この作品でとうとう別れが来たような表現になっている。

でも,この2人はまた会える。きっとそうなるような気がする。








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Last updated  2007.07.01 23:11:48
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