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2008.04.30
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カテゴリ: びしびし本格推理
優しいミステリーで評判の加納朋子が,初めて書いた長編で,初めて書いたダークなミステリーだ。

○ストーリー
<私>は小劇場の女優・聖,人形の様に美しい肢体を武器に,支援してくれる男性を渡り歩き,より大きな舞台を目指す。
<僕>は天涯孤独の青年・了,人形師・如月まゆらが製作した”まゆらドール”に惹かれ,壊れたまゆらドールを復元し,その人形と暮らす。
孤独な2人が出会った時,悲劇の幕は開ける。

----------------

主人公は,聖と了の2人だが,彼らより一世代上となる,まゆらと創也の過去も語られるので,都合4人で演じられる舞台を見ているような気分になる。

聖,まゆら,と登場する女性たちの性格が悪い,というかリアルなので,加納朋子作品としては,やはり異色だと言える。その上,パトロン,妊娠,男を利用する,と言った単語が使われるので,一部のファンにとってはツライ作品かも知れない。

けれども冒頭に書いたように,この作品は加納朋子本人にとって,ある程度の実力を着け,自信を持って発表したものに違いない。ある意味,早々に決まった型が出来てしまった作者が,これまでの殻を破るための重要な作品なのじゃないかと思う。



とは言え,重厚な本格ミステリーを期待すると,それは大きく外れる。ミステリーのトリックは1つだけで,全体としては,一見ドロドロしているようで,実はプラスチックのように作り物っぽい4人の主人公の人生が語られる。

どの主人公も,どこか生真面目な部分があり,ある枠からはみ出ることが無い。加納朋子の考え方が,真面目なのは百も承知だが,ダークなミステリーを目指した作品でそれを貫かれても,どうも登場人物にアクが足りないように思えてしまう。

なにしろエピローグが余計だ。いろいろあっても,せっかく新しいカラーで統一されていた作品を,元の加納朋子パステル色で塗り始めることはないよなあ。

----------------

この作品で魅力的だったのは,聖と了ではなく,加納作品としては珍しく悪女・悪人系のまゆらと創也だ。大金持ちで,若い女優を囲っている,というのも個人的に(超個人的に)あこがれるし,自分が助かるために,これまで貫いてきた道をあっさりと裏切る創也は,なかなか人間の複雑さを体現していていいと思う。

聖と了の運命も,創也のそれと同じように辛口でも良かったのに,と思う。












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Last updated  2008.04.30 23:10:27
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