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2009.02.20
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カテゴリ: びしびし本格推理
御手洗潔のワトソン役・石岡和己が探偵役を務める長編を読んだ。

○ストーリー
岡山県の旅館・龍臥亭で起きた連続殺人事件の死体に付けられた「7」という数字の謎を,石岡はついに解く。そこから考えられる犯人の奥にいる犯人の姿を求めて,石岡は遠く70年前の事件を調べる。彼が真相に気付いたとき,龍臥亭に異変が起きる。果たして石岡は,ミチとユキの親子を救うことができるのだろうか?

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石岡和己が精神的にも肉体的にもボロボロになりながら,それでも御手洗潔不在を補って活躍する。その過程が克明に描かれるので,石岡に対し応援する気持ちが湧いてくる。御手洗潔を含めて,一般的に探偵役は,天啓により事件解決に至るように見えるが,実はそのウラで,要する時間の長さは違っても,こうした苦悩をしていたかも知れないと考えると,なんとなくナットクをしてしまう。

この作品に効果のおかげで,他の御手洗潔作品までも「あったかも知れない」と思わされてしまう。これもまた島田荘司マジックだろう。

またこの作品を読んでから,石岡和己に対する好感度は急上昇だ。大活躍をしながら,御手洗潔とは異なり,少しもおごりたかぶるところが無いところも,感じがいい。

探偵物語は,探偵が作者の投影,助手役が読者の投影と言われることもある。助手役が活躍し,人間的に成長するというこの物語は,島田荘司から読者に対する応援歌なのだろうか?

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「暗闇坂の人喰いの木」「水晶のピラミッド」「アトポス」のレオナ3部作で,鍛えられ,馴れ親しんだ手法とは言え,毎回この分量には驚く。初めての人にはかなりツライと思うが,これは一気に読み切らないといけない。

上記3部作と異なるのは,過去の事件の部分が日本を舞台にした,近い時代のものだということだ。現実とフィクションがクロスしており,しかも石岡和己が主人公になっていることで存在感もある。フツーはしり込みをしてしまうような微妙なバランスであり,ここにも島田荘司の自信のホドがうかがえる。

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情景描写の素晴らしさは相変わらずで,龍臥亭で1人目覚めた石岡が,孤立していることに気付きぞっとするシーンの幻想的な空気は絶妙だった。今回は,日本の田舎ということもあり,五感に訴えかけるような描写が多かった。

また事件の謎の解決には,やや強引な流れを感じてしまったが,その前後の石岡和己の行動がきちんと描いてあり,ついゆるせてしまう。過去の物語の挿入など,物語の構成なども変わっているのだけど,細かいところでバランスが考えられていると思う。

上にも書いたが,この長い長い作品のラストは,これまで読んだ島田荘司作品の中でもベストと言える。石岡和己の優しい気持ちに,思わずもらい泣きすること間違いない。

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さて,この作品のある仕掛けにより,ますます立体的となった島田荘司ワールドだが,次は読者をどこに連れて行ってくれるのだろうか?









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Last updated  2009.02.22 09:55:00
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