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2009.09.04
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直木賞候補作にもなった恩田陸の傑作を読んだ。

○ストーリー
25年前,北陸の旧家のお祝いの場で起きた大量毒殺事件を追って1人のインタビュアーが調査を続ける。果たしてあの事件の真犯人は誰だったのか?そして事件はなぜ起きなければならなかったのか?調査と共にいくつかの小さな事件が起こり始める。そしてついに・・・?

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何回も書いているが,2005年前後の恩田陸作品の完成度はいちじるしく向上している。その中でも「ユージニア」は直木賞候補作品に選出されており,驚くばかりの完成度だ。

よく言われているが複数のインタビューで構成された部分は「Q&A」,知らない存在に徐々に包囲をされていくような恐怖感は「月の裏側」を思い出させる。過去の自分の作品の失敗を踏まえ,バランスよく”良いとこ取り”をしたような作品だとも言える。

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この作品はミステリアスではあるが,いわゆるミステリー小説ではない。あえてジャンルを定義するならばホラー小説だと思う。

恩田陸という作家が,ミステリーやSFも書く人であるし,この作品もかなりミステリー仕立てなので混乱が生じるのだと思う。だがしょせんミステリー小説は,数あるジャンルの中の一部分でしかないので,それに収まりきれない恩田陸作品を批判する態度は間違っていると思う。



この作品で言えば,間違いなく最初から最後までコントロールがされており,読者をじらせるテクニックも見事だ。よって言うまでもなくこのオープンエンドの結末は作者の狙い通りということになる。

上にはこの作品がホラー小説ともとれる,と書いたが,僕の中では恩田陸の作品世界は,村上春樹のそれに近いものがあると思っている。今はまだまだチカラ負けをしているが,いつかあのレベルに達するのではないかと思っている。

その時には,恩田陸作品を「未完成」と呼ぶ人はいなくなるのだろうけど。

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この作品は,事件の起きた25年前,それについてノンフィクション作品が書かれた10年前,その2つを追いかける現在,と3つの時間軸に渡って描かれている。

複数のインタビューで構成はされているものの,早い段階から登場する人物が重なり始めるので,読者は物語に置いていかれずに済む。事件の起きた旧家,その周りの人々がどんどん立体的に浮かび上がってくるのだ。

また中盤以降には事件はまだ進行中であるということが示唆される。数々の情報が明らかになる「ファイルからの抜粋」という章の終わり方には,正直鳥肌が立った。

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恩田陸作品で忘れてはいけないのが,いつしか伝統となった本の装丁の美しさだ。この本も表紙,書体,そして見開き部分の詩の挿入など,凝った造りとなっている。

例によって図書館で借りて読んだのだが,この作品だけは自分で買って手元に置いておきたいと思う。










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Last updated  2009.09.06 11:10:19
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