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2009.11.19
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デビュー作から読んでいるマンガ家・高橋葉介の「夢幻紳士シリーズ」の最新刊を読んだ。

○ストーリー
青年・夢幻魔実也は,ある男の屋敷を訪ねる。かつてここには美しい庭と美しい奥方がいたが,彼女が病に倒れ衰弱するのと合わせて屋敷も荒廃の色を見せていた。魔実也は彼女の死の責任を男に追及するが,男はまがまがしい本性を表し,彼に襲い掛かってきた・・・その時!

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早川書房の『ミステリマガジン』で連載され,完結した早川版「夢幻紳士」の3部作は,「夢幻紳士」の長編という新しい試みで,これまででも最高傑作だと思っている。

1年のブランクを置いて同マガジンで発表された〔回帰篇〕は,過去に発表された「夢幻紳士 〔怪奇編〕」のいくつかを書き直す,という変わったコンセプトだ。シリーズとしては伝統的な短編読み切りの怪奇譚だが,画風というか絵のタッチは最近の木炭スケッチトーンも使うものであり,新旧のカラーが混ざった作品になっている。

版権の関係などは全く分からないが,なぜこうしたセルフリメイクが必要だったのかは不明だ。早川3部作のレベルの高さから考えると,ネタに詰まったというような状況ではないのは間違いない。

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よく言及される複数の「夢幻紳士シリーズ」の区別についてだが,〔回帰篇〕の執筆により,〔怪奇編〕と早川3部作は同一の夢幻魔実也だ,という印象が強まった。



けれども古いファンの共通見解だと思うが,一番好きなのは,30年近く前に発表されたオリジナルの〔マンガ少年版〕だ。

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各編についてオリジナルとの差を中心に述べる。
「蝙蝠」:ダークファンタジー風。オリジナルは〔怪奇編〕(徳間書店版,以下同)に未収録のため未読。唯一の初物となった。

「首屋敷」:ブラックな味わい。〔怪奇編#1〕に収録。画風,タッチなどが大きく異なる。ストーリーこそ同一だが,ごく一部でセリフの順序などが異なる。おそらくリズム感を保つためだろう。

「沼」:伝統的ホラー。〔怪奇編#1〕に収録。一部のシーンとセリフをカットし,テンポが良くなっている。ラストのシーンは,オリジナルの方がいろいろな意味で良いと思う。

「吸血鬼」:モダンホラー。〔怪奇編#1〕に収録。冒頭の数ページとラストの1ページが割愛されているが,それ以外はオリジナル通り。だが特にラスト1ページの展開の有無で,結末が全く異なっている。これはオリジナルが圧倒的に優れている。

「蛇」:ブラックだが,男性には格別の恐怖感あり。〔怪奇編#3〕に収録。オリジナルに忠実なので,その分画風の変化が目立つ。

「夢魔」:「蝙蝠」と似たような物語だが,ずっと前向きな雰囲気で終わる。〔怪奇編#2〕に収録。オリジナルに忠実で,ラストシーンは同一。テンポやアングルの良さなどでリメイク版に軍配。

「木精」:悲恋ファンタジーの名作。〔怪奇編#2〕に収録。一部の構成を変更して,テンポを速めている。木の精の美しさははるかにリメイク版のぼかしタッチが上だ。

「鬼」:伝統的なホラー。〔怪奇編#3〕に収録。オリジナルに忠実。人体損壊のシーンが和らいだのと,鬼から女への変身を巧みに描いているのでリメイク版が良いと思う。



「夜会」:〔怪奇編〕のラスト(当時)を飾るモダンホラーで,絵もストーリーも素晴らしい。〔怪奇編#3〕に収録。ほぼオリジナルだが,冒頭のシーンが割愛されている。甲乙つけ難い。

「花火」:『チゴイネルワイゼン』にインスパイアされたホラー。〔怪奇編#3〕に収録。オリジナルにとても忠実で,テンポなどはオリジナルに軍配。花火が明るすぎるような・・・

「幽霊船」:〔怪奇編〕の冒頭作品となった伝統的なホラー。〔怪奇編#1〕に収録。オリジナルから構成を変更し,結末が変更されている。物語のまとまりとしては,オリジナルがはるかに優れている。ただし,今回は〔回帰篇〕のラストという特殊な事情があることを勘案すべきだろう。









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Last updated  2009.11.22 16:23:39
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