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2009.12.29
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カテゴリ: びしびし本格推理
辻村深月の2作目の下巻を読んだ。

○ストーリー
”i(アイ)”と”θ(シータ)”の2人の連続殺人ゲームは,孝太の周辺の人々を巻き込む。そしてとうとう孝太のところに殺人の予告状が届く。だが数日後,彼が知ったのは・・・

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女流ミステリー作家として今後が期待されている辻村深月のデビュー2作目を,遅ればせながら読んだ。

さてこの作品は上下の2巻構成だが,上巻で提示された謎は意外と少ない。既に4件の連続殺人事件が発生しているが,それぞれはごく普通の刺殺や絞殺であり,その方法に謎はない。

また2人組の殺人者の片方の正体は,読者に対して上巻のうちから明かされているので,最後まで謎である片方”i(アイ)”の正体,これがこの物語のキーとなる。

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だが下巻を読み終えて感じたことは,情報を整理をしたり,構造的な考察することはあまり意味がないのかも知れない,ということだ。



下巻はそうしたドロドロした部分を読み終えないと,iの正体が明かされる部分までたどり着けない。こうした人間関係の描写は,辻村深月作品の特徴だが,この作品において,これら全ての過去バナは必要不可欠な要素だっただろうか?

個人的にはほとんど全てが余計な遠回りであるように感じた。iの正体もそもそも過去の情報がきちんと提示されていないので,ミステリー視点で評価すると,だいぶ辛口の評点になってしまう。

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物語の終盤近くで,月子と恭司が2人きりになるシーンがある。なんでこのタイミングで会うことができたんだろうか?というすごーく素朴な疑問は置いておけるならば,なかなかいいシーンだ。

この作品の登場人物の感情表現はどうも作り物っぽいのだが,それを割り引いても,泣かせる場面だ。

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「冷たい校舎の時間は止まる」でも指摘されていたことだが,この作者は登場人物への呼称に全く法則性を持たない。主人公の3人が,「狐塚」(苗字),「浅葱」(名前),「月子」(名前)とバラバラだし,月子の友人も「紫乃」(名前),「真紀ちゃん」(名前+愛称)とバラバラだ。

これはかなり読み辛い。意図が無いならば小説としてはなるべく避けるべきだと思う。

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また前作で問題とされた「誰からも愛される主人公」=作者=辻村深月だが,今作でも「優しすぎる主人公」=月ちゃん(月子)=辻村深月?という構図が見え隠れする。

作品は,もう少し相対化されたものを提供してもらいたいと思うな。







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Last updated  2009.12.31 16:57:35
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