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2010.11.22
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カテゴリ: びしびし本格推理
鯨統一郎の「九つの殺人メルヘン」の続編を読んだ。

○ストーリー
バー〈森へ抜ける道〉では,今宵も山内・工藤・島のヤクドシトリオが,昭和のウンチクを語り合っている。だがどうしても話題は,探偵をしている工藤が抱えている未解決事件へと流れていく。それを毎回,昔話と関連付けて見事に解き明かして見せるのは,美人女子大生の桜川東子(はるこ)だ。〈春霞〉を飲むごとに,東子の推理は冴え渡る。

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八つの連作短編となっており,それぞれ1つずつ日本の昔話の新解釈と,その内容に近い事件の謎解きがなされる。けれども下手をすると,それよりも印象に残るのが,各編の前半半分近くを費やして,延々と続くウンチクネタだ。テーマは,アニメ,映画,スポーツ選手,テレビドラマ,と,見事によどみなく続く。

解説でも書かれていたが,ネタとしては十分面白いのだが,だんだん「いつになったら本題に入るんだろう?」と不安になってくるのも確かだ。昔話の新解釈と事件の謎解きが意外とあっさりなので,作者がチカラを入れている比重が間違っているような気がしてしまう。

また,前作でも書いたが,主人公たちヤクドシトリオが,昭和のウンチクを知り過ぎていると思う。前作で42才だった時は,ことに不自然さを感じた。この3人が,第2作では何才かは語られないが,桜川東子がまだ25才らしいので,3人も50才にはなっていないと思われる。

でも,分かる人には分かるけど,彼らの体験談は,時には50代,時には60代の団塊世代でないとおかしい。まあネタなので,そちらを真剣に論じてもしょうがないんだけど,若い人には区別が付かないと思ったので,ちょっと言いたかった。

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表題となっている「浦島太郎の真相」だけは,じんわりと心を打つ解釈があったが,それ以外は浅い解釈だったり,強引だったりで,あまり説得させられなかった。鯨統一郎の得意分野のハズなのに,そこでチカラを発揮できない,というのは残念だ。

事件は最初から状況が不自然で,とくにトリックも無く結末もおざなりと,おまけのようだ。一応ミステリーなのに。

てっきり連作として何か大仕掛けが待っているのかと,期待してしまったのもガッカリの要因のひとつだ。

もともと,このシリーズが読みたくて,鯨統一郎を読み始めたので,ここでのパワーダウンはだいぶ悲しい。

最近,鯨統一郎は,著作が減っているが,作品を減らしてでも,洒脱な歴史ミステリーの力作にカムバックしてもらいたい。

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さて恒例の他の作品へのリンクで気付いたものは以下;
-包丁人の桃次郎が言及される
-〈森へ抜ける道〉のマスターは,昔〈スリーバレー〉でバーテンをしていた
-「パラパラ漫画」殺人事件が言及される

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「浦島太郎の真相」:75才の母親の介護をしてきた娘が,母親を殺した。事件の裏に潜む,弟の存在とは?・・・この短編で語られる浦島太郎の新解釈は素晴らしい。納得するだけでなく,余韻が味わえる。

「桃太郎の真相」:鬼塚という乱暴者に使われていた桃川という男が,鬼塚を刺した。だが真の被害者は?・・・オリジナルの昔話を都合よく変えてしまって語るのはルール違反だと思う。

「カチカチ山の真相」:老夫婦が不審死を遂げ,金庫の1億円が消えていた。容疑者は保険の営業の女性だった。・・・個人的にはこのカチカチ山の解釈は面白いと思った。

「さるかに合戦の真相」:画期的なセキュリティソフトを開発しているIT会社の社長が殺された。どうやら犯人は社内にいるようだが?・・・突然の歴史ネタ。これがまたウルトラ強引でひいた。

「一寸法師の真相」:居酒屋で殴り合いになった2人の男性。後日男性の妻が,相手の男を殺した。・・・せっかく解釈は面白いのに,事件とうまくつながらない。



「こぶとり爺さんの真相」:新薬の開発に成功した社員が同僚を殺めた。どうやら新薬には欠陥があったらしい。・・・納得はしたが少しも面白味のない解釈だった。

「花咲爺の真相」:町工場で働いていた男が殺された。男の残したメモと所持品から,彼が義賊で噂の「S90号」であることが分かったが?・・・生命の循環と事件の関連が見えてこない。最後はうまくまとめているけど,やはりびみょー。







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Last updated  2010.11.22 23:50:45
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