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2011.02.23
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カテゴリ: ばくばく冒険小説
逢坂剛の大河冒険小説〈イベリアシリーズ〉の第1作を読んだ。

○ストーリー
1940年のスペインに,1人の日系人・北都が現れる。内戦を終えたばかりで,混乱の多いマドリードで,彼は宝石商として知人を増やしていく。だがナチスドイツの隣国,そしてヨーロッパ全土への侵攻は,スペインへ影響を与え,彼の周辺の人々の運命を狂わしていく。そしてヒトラーとフランコの会談の日,事件は起きる。

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「鷲は舞い降りた」のジャック・ヒギンズが得意とする,第二次大戦のヨーロッパを舞台にした冒険小説を思わせる作品だ。アプヴェアのカナリス提督,放浪の王族ウィンザー公,MI-6の諜報員など,ヒギンズ作品で登場するギミックがそのまま現れる。

しかしながらアイルランド人の代わりに日系人が登場し,ドーバー海峡の代わりにスペインが舞台となる。

ある程度,第二次大戦については知っているつもりだったが,ここまでスペインが大戦の行く末を左右する立場にいたとは知らなかった。ドイツ,イギリス,スペインの政治的な綱引きが分かりやすく描かれていて興味が尽きない。

このおかげで諜報戦で,だいぶ突飛なことが描かれていても信じられるような気持ちになる。

舞台背景としては抜群の選択だと思う。



この作品が残念なのは,登場人物に魅力が無いことだろう。謎の日系ペルー人の北都も,複雑な過去を持ちつつも,結局はマジメ一本槍で,その上,何も活躍しない。

フランコ総統暗殺へ身を投じる人物たちも,そこまでしなければならないような情念が感じられず,若者の一時の感情のように思えてしまう。

登場人物が多いためなのか,作品がムダに長いためか,は分からないが,せっかくキチンと描かれているヨーロッパの政治的な背景と,スペインの内戦後の日常が,特徴の無いキャラクターのロボット的な行動がダラダラと描かれるために,台無しになっていると思った。

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唯一,存在感を放っていたのがロマニジョス伯爵夫人だ。このキャラクターがいなかったら,もうウツウツな空気だけだっただろう。

この作品から始まる〈イベリアシリーズ〉は,現在6作が刊行されているが,いずれも大作らしい。この空気でいくつも長編を読むのは,かなりツライかも知れない。









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Last updated  2011.02.23 21:25:48
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