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2011.03.10
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カテゴリ: びしびし本格推理
新本格ミステリーのリーダー・有栖川有栖の新作を読んだ。

○ストーリー
二つの家をつなぐ地下の長い廊下には,若い女性の幽霊が出るという評判だった。それを知らずに大学の研究調査の過程で,その土地に迷い込んでしまった大学生の日比野は,調査に来ていた出版社のチームと一緒にその家で夜明かしをする。だが翌朝,恐怖の事件は起きた。

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久々に名探偵(←懐かしい言葉)・火村准教授が活躍する短編集だ。品の良い文章,緻密なロジック,優等生的な登場人物,そしてのほほんとした大阪弁は,間違いなく有栖川有栖の作品だ。

どの短編でも人の命が失われていることを考えると,全般に流れる飄々とした空気に少しだけ違和感を感じる。

館系のストーリーを想起させる作品タイトルもミスリードだし。

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火村の教え子という世代の人物が,4編のうち3編に登場する。現実的には世代交代が意識されているのだろうけど,作品世界の中では火村も有栖もまだ30代前半ということが言及され,さすがにそれはないだろうと思ってしまった。



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各編について簡単に述べる。

「長い廊下がある家」:廃村の調査に行き迷ってしまった大学生の日比野は,そんな中で灯りをともしている家になんとかたどり着く。ところがそこで行われていたのは,幽霊屋敷の取材だった。一夜が明けると,本当に恐怖の事件が発生していた・・・面白いんだけど長い。常識で考えれば,在りえないほど不自然な「長い廊下」が構築されていて,そこで起きた事件の状況もイロイロ不自然。せっかくの生真面目な文章と内容のバランスが取れていない。トリックも中途半端。

「雪と金婚式」:雪の夜の金婚式を過ごしていた老夫婦の隣家で,殺人が起きていた。容疑者は見つかったが,降雪状況の証言と雪の上の足跡から,アリバイが成立してしまうのだった。果たしてこの不可能犯罪のトリックは?・・・老人子どもと女性に優しいホワイト火村が登場。ところどころご都合主義がうかがえるけど,全般に優しさが満ちた短編だ。

「天空の眼」:学生が旅行先で撮影した写真には,霊が写り込んでいたという。しかも,それを鑑定するために預かった男子学生の友人は,事故死をしてしまった。有栖はその謎を解くことができるのだろうか?・・・心霊写真,転落事故,グーグルアースの三題噺なんだろうか?残念ながら,この3つの要素がかみ合わないまま終わっている。有栖のみ活躍。

「ロジカル・デスゲーム」:火村はある男に拉致され,命を懸けたゲームに参加することを強要される。そこで火村が取った行動とは?・・・火村のみが活躍する。・・・この短編での火村は,知力,胆力,行動力,どれを採っても抜群にカッコいい。表現が丁寧すぎて,逆にゲームのルールが分かりにくくなっている気がするのが残念。それと,火村の解決策って,制限時間内にできないだろう。・・・まあ,カッコいいからいいか?







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Last updated  2011.03.13 00:06:14
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