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2014.04.10
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文楽に惚れ込んだ若者の姿を描く三浦しをんの作品を読んだ。

○ストーリー
学校で連れていかれた鑑賞会で,すっかり文楽のトリコとなってしまった健(たける)は,人間国宝の銀太夫師匠の元で義太夫の修行を続ける。だがある時,変人で有名な三味線の兎一郎とコンビを組むことを命じられ,彼の愛想のなさに戸惑う。だが二人の文楽への情熱はすぐに共鳴し,互いに競いながら急成長を見せる。文楽作品の登場人物と健の生活をシンクロさせながら,古典芸能に魅せられた人々が描かれる。

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三浦しをんの魅力にあふれた作品だ。才能はあるけれども迷っている若者が少し一般とは異なる境遇におり,少し年令が上の仲間と共にさらなる高みへと進んでいく。この作品は主人公の専門バカの度合いが高いが,多くの作品では,主人公は迷い,悪態をつきつつ,その境遇に順応していくので,読者が共感しやすい。だから三浦しをんの多くの作品で,かなり特殊な仕事や活動がフォーカスされているのに,ひじょうに読みやすい作品に仕上がっている。

今回のニッチなテーマは文楽だ。つまり人形浄瑠璃の公演を専門集団であり,太夫(浄瑠璃太夫),三味線,人形遣いの三業の協力で成立している。家元の跡取りに生まれ,そのまま家を継ぐ者もいれば,一般の家庭から研修会で修行をし,誰かの弟子となる者もいる。

この作品では,主人公の健が,全くの門外漢から文楽の世界に入り,研修会を経て,銀太夫師匠の弟子となっている。もっとも作品の冒頭で既に10年間のキャリアがあり,20代後半の若手大夫となっている。それでもいろいろと悩みながら,演目の登場人物を分析し,現代の人間の行動と比べながら理解していくので,文楽に疎い読者にも入りやすい設定となっている。

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とは言え,やはり古典芸能を全く知らない人にはハードルが高いと思う。



そうしたことで,この作品の世界観や,登場する演目の多くが分かっているので,すっと入っていくことが出来たが,その素養が無い人にはだいぶツライかも知れない。

三浦しをんの作品の常として,文章,長さ,展開などで読みやすいことは間違いないが,今回ばかりは取り扱うテーマの特殊性が高過ぎるのではないかと心配だ。

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作品に登場する男性は,ほとんどが文楽の技芸員だ。現代の芸能界との交流が豊富な歌舞伎とも異なり,伝統を重んじる世界に生きている〈バカ〉ばかりなのだが,実に生き生きと描かれている。

それ以上にチカラ強いのは,主人公・健を取り巻く女性たちだ。ボランティアで文楽を教えに行っている小学校の藤根先生,小学生のミラちゃん,ミラちゃんの母親の真智,どの女性も思い込んだら他人の目を気にせずにズバッと行動する。この情の深さが,作品のテーマである文楽の世界とシンクロしていて小気味良い。

そういう意味では,江戸時代の文楽の世界観を現代に再現して見せているのかも知れない。個人的には楽しめたし,姉も続けて読んでいた。いいと思う。












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Last updated  2014.04.12 11:33:00
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