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2016.02.05
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三浦しをん版「細雪」と紹介されている長編を読んだ。

○ストーリー
佐知は,既にアラフォーと言われる年令だが,刺繍教室の講師で,口コミを通じて依頼される刺繍作品の作家でもある。彼女は杉並区の古い洋館で,母親の鶴代,友人の保険会社OL・雪乃,若い多恵美と,4人で静かに暮らしている。その日々の中で,彼女が気付いたこととは?

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最近の三浦しをんの作品は,文学というよりエンターテインメントとして,ひじょうに高いレベルにあると思う。

〈まほろ駅前シリーズ〉は現代版ハードボイルドとして映像版も人気だし,「風が強く吹いている」は青春スポーツ小説として秀逸,「政と源」は老人を主人公にした冒険小説,そして「舟を編む」は仕事に一生をかける人々の賛歌を描いた作品だ。

こうした作品は,初期のややブンガク風のそれからは内容は大きく変わっており,1作ずつきちんと分かりやすいテーマがあり,そこに多彩な登場人物が絡み,そして絶妙なユーモアにあふれている。

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今回の作品も,登場人物やユーモアの部分はいつも通りなのだが,物語の流れが希薄なのと,語り口が独特なことで,初期のブンガク風の作品を思い出してしまった。



30代後半の主人公,その母親,主人公と同世代の友人,友人の会社の後輩の20代,という4人の女性の暮らしが描かれる。その模様は男性の僕からは判断は難しいが,たぶんリアルでない。最近流行りのシェアハウス風の暮らしぶりなのだけれど,あまりにもうまくバランスが取れているのが小説っぽいんじゃないの?・・・と,勝手に思っている。

さらに中盤から登場する複数の語り手の存在が読者を戸惑わせる。正直,最初の語り手はかなり唐突で,この作品世界と相容れない,というのがほとんどの読者の印象だろう。語り手の視点は移動してはいけない,というルールが一般的になった現代からすると,この作品の視点あるいは視座の自由な移動はひじょうに特異だ。

全体的に漂う浮世離れした,あるいはゆるゆるな空気,そして一方で自由過ぎる視座の存在から,初期作品以上のブンガク的な空気が感じられる。

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この作品の魅力は,主人公たち=したたかな女性たちの生き様を愛でること,ではないだろうか?

女性たちのリアルな生活を覗き見しているような部分もありながら,前述したようにリアリティはたぶん薄い。けれども,ブンガク趣味の人々と,シェアハウスを夢見るような人々との両方の願望をつないで見せる世界観は,かなり多くの人々の共感を得ると思う。

そうしたことを超えた,メタ的な視点が,この作品のテーマとよく会っている。ネタバレをしないために,詳しく書けないけれども,孤独な個人をさらに温かく見守ってくれる存在,それがこの作品のテーマだと思う。

最初は戸惑ったけれど,わりと良いと思うよ。










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Last updated  2016.02.07 19:18:36
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