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2017.05.11
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カテゴリ: びしびし本格推理
米澤穂信の人気シリーズ〈古典部〉の短編集を読んだ。

〇ストーリー

日曜日に買い物に出た伊原摩耶花は,中学3年のクラスメートに再会した。近況を語る中で,現在の部活動を,折木奉太郎と行っていることを知らせると,クラスメートは見る見るうちに嫌悪感を示した。確かに,中3の際に奉太郎はあることを行って,学年中から総スカンを食らったのだった。だが,そのきっかけとなった事件を調べていく中で,摩耶花はあることを知るのだった。

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米澤穂信と言えば,日常ミステリーと青春物語の見事な融合だ。当初はラノベとして認識されていたが,意外とシリアスな内容が再認識され,次世代を担う本流のミステリー作家として,高く評価されている。

とは言え,古くからのファンとしては,〈古典部〉〈小市民〉の2つのシリーズ作品の発表が,一番うれしい気持ちになる。それこそ高校時代の友人と再会するような気持で,無条件に手を取ってしまう。

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神山高校〈古典部〉の面々も,2年生へと進み,ぎこちなかった関係は,身内のくつろいだ距離感へと変化している。そこでさらに謎の多い,折木奉太郎の過去が語られ,伊原摩耶花,千反田えるの次の動きも見えてくる。

ゆっくりとだが,確実に変化していく〈古典部〉の過去と将来が語られる。



気になった点がいくつかある。

まずは全体的に人間関係がトゲトゲしている。ミステリー要素があるので,最終的には話し合うことで情報を引き出し,語り合わなければならないのだが,それにしてもその前の過程のハードルが高過ぎて,読んでいるだけで心が折れそうになる。日常ミステリーって,ライトな調査なんじゃなかったっけ?わざとやってるよね。

「連峰は晴れているか」の最期はまるで〈太刀洗シリーズ〉だった。この真面目さは頭では理解できるけれど,キリストではないので,実現は出来ない。考え方が極端過ぎる。

「長い休日」と「いまさら翼といわれても」は,発表時期は全く異なるが,連続短編とも取れる構成となっている。ひじょうにキレイにまとまった前者の後に,全く逆にシリアスで陰鬱となってしまう後者で短編集を締める。これまで〈古典部〉の仲の良さをそこそこ感じさせていた作品が,一気に暗いムードで終わってしまった。

もちろん何かを狙っているのだろうけれど,番外編短編集に近い場所でこれをやるのはちょっとバランスに欠けると思った。

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各編について簡単に感想を述べる。

「箱の中の欠落」:奉太郎は里志に相談を受け,彼らが通う神山高校の生徒会長選挙で発生した不正に手段についての謎を解こうとする。・・・奉太郎と里志の友情こそ,古典部を存続させている大きな要素だと思う。やる気のないホームズと,やる気のあるワトソンとでも言うべき2人が,2人きりで事件を解決しようとする。いろんな意味で,地味で静かなのだが,男2人のそっけない雰囲気も,そもそも事件を解こうとする気持ちの暖かさもなかなか良かった。トリックは説明が冗長なワリには分かってしまうかな?

「鏡には映らない」:伊原摩耶花は中学時代のクラスメートに再会したことで,折木奉太郎がいまだに中学の同窓生から軽蔑と嫌悪されていることを知る。だが,そのきっかけとなった事件を調べていくと?・・・ネタバレ防止のために内容についての言及は極力避けるけれど,好きな短編だ。とは言え,誰もが感じるだろうけれど,ちょっと調査の流れがスムーズに行き過ぎだし,また真相がこれまでのシリーズとは違い過ぎる。なんというか,とてつもなく〇い話過ぎた。(笑)

「連峰は晴れているか」:神山高校の上をヘリコプターが通過する。それをきっかけに奉太郎は,中学時代の教師がヘリコプター好きだったという逸話を語る。だが,それがきっかけで見えてきたこととは?・・・「わたし気になる」奉太郎は面白いのだけれど,なんだか恐ろしく説教臭い気がした。そんなことを気にし始めたら,誰とも会話出来ないんだけれど。

「わたしたちの伝説の一冊」:伊原摩耶花が所属する神山高校の漫画研究会の内紛は続き,読むだけ派と描いてみたい派に分裂していた。描いてみたい派が刊行しようとしている同人誌のために,摩耶花が準備していた作品の下書きノートが盗まれた。それは誰が,何のために行ったのか?・・・ミステリー要素はあり,ひじょうに緊張は高まるのだけれど,最後にまったく別の方向へと進む。ミステリーからリアルに方向転換なんて卑怯だよ!と思うけれども,これもまた〈古典部〉の魅力の1つだろうなあ。みんな,ちょっとずつ大人になる。



「いまさら翼といわれても」:市民会館で行われる合唱大会で,ソロを歌うはずだった千反田えるが行方不明になった。〈古典部〉の面々は手分けをして調査を行い,えるへと迫るのだが?・・・さすがはリアル系青春物語だ。前の短編と同様に最後の部分の数行で,それまでの謎や流れをねじ伏せてしまった。一方でこの終わり方は,これまでの他の短編での前向きな空気を一蹴してしまい,もったいない気がした。ヲイヲイだよ。












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Last updated  2017.05.12 22:51:14
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