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2017.05.15
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カテゴリ: びしびし本格推理
打海文三の情感に満ちた短編集を読んだ。

〇ストーリー

妻と娘が出産のために実家に帰っている間,中村哲郎はかりそめの独り暮らしを楽しむ。彼は公園の野球場で,ワンピース姿でファウルボールをキャッチし,遠投で投げ返す不思議な女性と出会う。彼女に魅惑された哲郎は翌週にキャッチボールをする。さらに関係を深めようとした哲郎は,彼女の言うままに・・・

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不思議な味わいに満ちた短編集だ。

まずは全体的に魅惑的なエロティシズムに満ちている。基本は男性が主人公の短編で紡がれているが,どの短編でも主人公は女性から誘われ,多くの場合ベッドを共にする。

登場する女性の多くは年上,それでなくても30代,40代で,身長は高く,体格が良く,腰と胸が大きい。・・・日本人の女性の対極にあるような女性像を毎回描いているのは,なんかの呪詛だろうか?

さらになぜかスムーズに進んでいた短編の結末に,主人公の悲劇が待ち構えているのを知ると,各編に登場する妖艶な女性たちは,恐ろしい妖女にしか思えなくなる。

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確かに,いくつかの短編で登場人物が重なり,ゆるいリンクが張られていたが,さすがに最後の最期で,連作短編集に変えようというのは,無理筋ではないだろうか?あちこちファンタジーのようになっているので,最後の最期で整合性を取ろうとしても難し過ぎると思う。

きれいに謎が整理されることはないのだから,ミステリーのカラーを加えるよりも,退廃的な空気を持った現代のファンタジーとして,妖艶なままで終わった方が良かったと思う。

残念だ。

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各編について簡単に感想を述べる。

「はしゃぎすぎてはいけない」:服部正幸は,大学教員である両親が短期海外赴任に行っている間,久々に実家に戻ることにした。離婚の調停を終え独り身に戻った正幸は開放感を感じ,また彼を誘ってくる女性も複数いた。ある女性から呼び出され,迎えに行った正幸は?・・・中盤まで男性的な視点ではあっても,のんびりとした展開だったのに,ラストの流れが衝撃的だ。ブンガク的に,そういう人生模様なのかな?とは思うけれど。

「結婚式までカウントダウン」:婚約者の両親を伴った食事会をすっぽかした田島隆介は,住宅街にある画家のアトリエで,年上の女性と出会う。〈鳥〉と名乗る女性の魅力に負けた隆介は,彼女とホテルに行くのだが?・・・独特の魅惑的な空気で満たされている。主人公・隆介には少しも共感出来ないが,さすがに終盤の流れには驚いた。

「お家へ帰ろう」:故郷に高校時代の先生が戻ったことを知り,沢口高志は自分の営業ルートにその町を加えるようにする。その町に行く途中で出会った女性・順子と怪しい関係になりつつ,高志は元先生への気持ちを募らせるのだが?・・・さすがに3つ目の短編も同じ流れだと,ちょっと辟易する。また年上女性?

「街で拾ったもの」:エッセイマンガでカリスマ的な人気となった,アガタ美玲,担当編集員だったが彼女と暮らすようになった竹内康雄。2人が暮らす家に,田中佐知子という魅惑的な女性が加わった。それによって・・・主人公はサラリーマンではない。彼の恋人はサイコパスではない,という点では空気が違う短編だが。それにしても。

「みんな我慢してるんです、と彼女は言った」:出産のために子供を連れて妻は実家に帰っており,中村哲郎は束の間の独り暮らしを楽しむ。彼は公園の野球場で,ファウルボールをキャッチし,投げ返す不思議な女性と出会う。彼女に魅惑された哲郎は?・・・ふぁ?何これ?心象風景???ひどすぎない?

「ふたりのメアリー」:宮本俊一は中学生の時から生き別れだった妹と再会する。豊満な大人となって戻ってきた妹と,アートと映画の話をしつつ,俊一は悲劇へと突き進む。・・・またまた小説未満の心象風景だ。さらに,最後に取って付けたような事件。これって必要なの???















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Last updated  2017.05.15 22:28:20
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