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2017.06.06
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月村良衛の長編ハードボイルド小説を読んだ。主人公は2人の女性だ。

〇ストーリー

群馬県みなかみ町に住む中学1年生・秋来祐太朗は,幼馴染の神田麻衣と一緒にいた時に,事件に巻き込まれ,謎の武装グループに拉致される。犯人グループは某国の特殊部隊だったが,彼らは追ってくる祐太朗の母・秋来律子と担任・渋谷美晴の2人に次々に制圧される。主婦と女性教師のコンビの正体は?彼女たちは2人の少年少女を救うことが出来るのか?そしてこの事件に関わる過去からの因縁とは?

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日本ののんびりした日常生活から,ハードボイルド小説の世界へと移行するにはなかなか工夫が必要だ。

月村良衛の作品でも,「黒警」「黒涙」のようにマフィアと警察,「土漠の花」のようにPKOでアフリカに派遣されている部隊,〈機龍警察シリーズ〉のように警察の特捜部隊,という設定があるからこそ,主人公たちは暴力で支配された世界と接することになる。

どれだけマスコミが喧伝しようと,世界的な基準で言えば日本社会は驚くほど平和だ。そこから,テロの世界へと物語を展開できる流れが,どれほどスムーズに読者を納得させるかが作家のテクニックになってくる。

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この作品では,少年少女が暮らしていた近くに某国の人物が潜んでおり,彼らはその拉致事件に巻き込まれた,という流れで,歴史的な背景や状況はなかなかよく出来ている。



たまたま少年の母親は,かつて公安の特殊部隊のエースだった。たまたま少年の担任の女性教師は,体育大卒で格闘に精通していた。たまたま,テロリストのリーダーは,〇〇と因縁があった。

「槐(えんじゅ)」も少年少女がテロに巻き込まれる作品だったが,なぜかヒロインとテロリストに因縁があった。今回も,申し訳ないが,同じアイディアの別バージョンという印象が強い。

日本の日常と隣り合わせのテロという作品が,作り物っぽくなる危険があるのは分かる。けれども,それへの解が,ここまで突飛だと,さすがに扱いに困ってしまう。ハードボイルドに適度な息抜きのシーンはあってもよいが,必須ではない。これではバランスが良くない。

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ヒロイン・秋来律子以上に謎の存在なのが,女性教師の渋谷美晴だ。

彼女は新宿で刑事をしている分かれた恋人がいて,その人物は警察をゆるがす秘密を持っているという。そして彼女はかつてロックバンドのボーカルだったという。

「新宿鮫」のヒロイン・青木晶は,体育大出身の武闘派ではなかったと思うのだが・・・???

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実はこの「ガンルージュ」の刊行をきっかけに月村了衛を知り,評判が良いのでどうせなら発表順に読もう,と決心した。そうした記念碑的な作品なのだが,残念ながら意外な肩透かしに終わってしまった。

かなり近い設定の別バージョン作品とも言える「槐」の方が,少年たちの成長が感じられる分だけ,優れている気がした。

今回の作品は,楽しめる部分はあるのだから,リアリティなどは気にせずに,もっと自由にやってくれた方が中途半端さが消えて,大化けしたかもしれない。


















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Last updated  2017.06.06 07:42:49
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