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2017.09.08
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マンガ家・太田垣康男が書いた絵本を読んだ。

〇ストーリー

テッドは息子のウィリー,犬のアーノルドと暮らしている。テッドには1年前に分かれた妻・キャサリンがおり,どうやら近々ウィリーが彼女の所に行くようだ。テッドは大学の研究職を辞め,港で貨物ローダーを運転し,貨物を船に積み込む仕事をしている。テッドは職場の女性ナンシーに食事に誘われるが,ウィリーと過ごす時間を優先して断る。なぜならば・・・

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アメリカの新聞日曜版に掲載されてそうな画風だ。デフォルメされ,線が少なくて,ポップで優しい印象を受ける。淡々と語られるのは,2人と1匹の静かな生活だ。妻に去られ,職場も変わり,と主人公・テッドは我々と同じような苦労をしていることが伝わる。

このままアメリカかどこかの家族生活が描かれるのかと思っていたところ,テッドが運ぶ貨物はザクで,積み込む船はジオン軍の軍艦というシーンがあり,この作品が「機動戦士ガンダム」の世界であることが分かる。

そして最後には涙が止まらない展開となり終わる。

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この作品はもともと「ガンダム サンダーボルト」の外伝コミックとして発表されたのだが,大評判となりコミック付録の絵本として出版された。僕自身は,今回のバージョンで初めて読んで,鳥肌が立つほどの感動を覚えた。



アニメだけでなく,マンガ,小説など様々なメディアでも作品は発表され続け,この作品もその一環だと言える。

けれども,パロディを除けば,ほとんどの作品がSFロボットアニメの枠組みに留まっていたのに対し,この作品のアプローチは全く異なる。

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テッドは研究者としては時代に取り残され,妻には去られ,さらに〇〇しなければならない。作品は彼の数日の生活を淡々と語っており,最初は「ガンダム世界」である必要性も感じられない。

この作品が心に響くのは,1つには日常系のドラマという表現方法があると思う。だがもう1つは,35年前の「機動戦士ガンダム」でもこっそりと描かれていた,「兵士は普通の人間だ」というテーマが前面に出ているからだと思う。

この作品の見事なストーリーテリングで,35年ぶりに「敵も人間だ」という驚きを思い出した。本編の様々な派手なシーンの裏に,いくつもの個人的な物語があったと考えると,どうしようもなく切ない気分になる。

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もちろん,この素晴らしい物語1つを取って,戦争反対とかそういう政治的なことを言うつもりはない。

ファンの間では「機動戦士ガンダム」の宇宙世紀は正史となり,年表まで製作されているが,そうした大局の裏に,いつもの小さなエピソードがあるということだ。

さりげない語り口で,戦争に巻き込まれた人の悲劇を描くのは,間違いなく「ガンダム」の伝統だ。35年経って,また感動の逸品を届けてくれるのは,この作品世界に深い奥行きがあるからだろう。

手に入れることは困難だと思うが,ぜひ読んでもらいたい。オススメだ。















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Last updated  2017.09.09 20:43:46
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