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2017.10.20
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カテゴリ: ばくばく冒険小説
打海文三の〈応化戦争シリーズ〉の第1作を読んだ。

〇ストーリー

日本は内戦状態に陥り,政府軍,反乱軍,地方軍閥が相争う状況となった。父も母も順番に失った7才の佐々木カイトは,4才の妹・メグと2才の弟・リュウを育てるために町で働く。13才となったカイトは,地方軍閥の徴用に拉致され,孤児の少年兵になる。カイトは兵士としての適応を見せ,軍隊で知り合った外人傭兵隊のイリイチ,町で知り合っていたロシアマフィアのファンの手助けもあり,孤児部隊を掌握するまでの成長を見せる。そして・・・

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これが読みたかった。

打海文三の作品を読み続けてきたのには2つ理由がある。1つには和製ハードボイルドをジャンルとして読破するため,そしてもう1つが〈応化戦争シリーズ〉を読むためだ。

この作品は本屋の店頭で見かけて読もうと思っていたのに,いつの間にか姿が消えてしまった。タイトルも作者名もうろ覚えだったので,未消化な気分のままかと思っていたが,ちょっとしたきっかけで作者が打海文三であることを知り,その作品を発表順に読むことにした。

期待度がひじょうに高かったので,逆にたどり着くためにきっちりと時間をかけた。

そして今は満足している。



物語は近未来,あるいは別の世界での日本を舞台にしている。それもまた常陸,土浦,水戸と狭い範囲で推移しているので,おそろしくリアリティがある。

この日本は内戦状態にあり,皇族も政権の主導者たちも外国に避難してしまっている。結果は我々が日常的に報道で接しているような,複数の勢力が相争い,状況を利用した裏ビジネスが潤い,女や子供がモノとして搾取される世界だ。

僕が読んできた中では,村上龍の「五分後の世界」や月村了衛の「機龍警察」が,こうした状態に近い日本を描いてきた。映像作品では「攻殻機動隊」が有名だ。

この手の作品のおかげで,遠い世界で起きている不幸な状況が,一気に身近に感じられる。それで何かが解決できるワケではないが,少なくともマスコミや日常生活で散々に非難されている我々の社会が,どれだけ幸せな状態にあるかは自覚することが出来る。

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主人公は佐々木カイトだ。妹と弟を育てるために,教育を受けず,そしてなるべく余計なことを考えずに育った。そのため,彼のセリフはほとんど平仮名だけで表現されている。

本来は妹と弟思いの泣き虫の少年なのだが,不思議な素直さがあり,また出会った人にも恵まれ,なんとか13才まで生き延びる。そこで拉致され,少年兵として訓練を受ける。

ここでもカイトは素直に環境に適応し,本来は捨て駒として利用される孤児部隊の中で生き延び,そして生存確率を高めるために,資金源を得て,部隊を強化していく。

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この作品の上巻は,純真だった少年が,人殺しのテクニックを覚え,交通料として金を取るようになり,マフィアと取引をする,という物語は,堕落と表現しても良いかも知れない。

彼が目指しているのは,妹と弟,そして何人かの知人に安全な生活を与えること,仲間の孤児部隊をなるべく生存させること,そして10年前に拉致された母親の消息を辿ることだ。



けれども,彼の行動を背景として,使い捨てだったはずの孤児たちが正規軍として認められるようになる。またどうやら内戦状態を利用して私腹を肥やしていた将軍たちを排除し,また搾取される一方だった女性たちの解放運動が進む,という状況ももたらしているようだ。

〈応化戦争シリーズ〉がどのような展開となっていくのかは分からないが,上巻では社会が少しだけ良くなっていく様子が見えて救いがあった。

ひじょうに刺激が強い作品で,万人にはオススメできないが,個人的にはとても楽しみだ。
























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Last updated  2017.10.21 22:38:20
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