りぶらりだいあり

りぶらりだいあり

PR

×

Profile

りぶらり

りぶらり

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

じゃがりこ 短くな… なすび0901さん

Victory for footbal… 恵子421さん

読書とジャンプ むらきかずはさん
片手に吊革・片手に… もりのゆきさん
From おおさか mayu0208さん

Calendar

Comments

おきま@ Re:「PRIDE 池袋ウェストゲートパークX」石田衣良を読んだ(07/30) 約32年前に池袋のウェイターに騙されて風…
深青6205 @ Re:「恩讐の鎮魂曲」中山七里を読んだ(08/16) こんにちは。御子柴シリーズはお気に入り…
りぶらり @ Re:「我が家のヒミツ」奥田英朗を読んだ(06/18) なすびさん,お久しぶりです。僕が本を買…
なすび0901 @ Re:「我が家のヒミツ」奥田英朗を読んだ(06/18) 好きな作家の一人 図書館で借りないでア…
2017.12.06
XML
カテゴリ: びしびし本格推理
北森鴻が生んだ骨董屋〈冬狐堂〉の最終作となる連作短編集を読んだ。
○ストーリー
あの孤高の〈冬孤堂〉が眼を患い,商売存続の危機にある。その彼女を陥れようと,様々な企みが仕掛けられ,陶子のところに,3回も買主から突き返されたといういわくつきの和人形が持ち込まれる。果たして,陶子はこの人形の謎を解き,彼女の評判を落とそうとする企みを覆すことが出来るのだろうか?


-----------


店舗を持たない骨董業,”旗師”の女性・宇佐美陶子を主人公にした〈冬狐堂シリーズ〉の第4作目だ。第1作,第2作は長編だったが,これに先立つ第3作と同じように今回も短編集だ。


-----------

前回も書いたが,〈冬孤堂〉の長編では作品世界の空気が張りつめ過ぎていて読んでいて疲れるので,短編集の方が気楽に読める。

この作品は2005年発表でこれで〈冬孤堂シリーズ〉は終わってしまっている。けれども〈蓮丈那智シリーズ〉〈修復師・佐月キョウイチ〉などで,宇佐美陶子はこの後もゲスト出演をしているので,決して北森鴻が彼女の存在を忘れたわけではない。

北森鴻ワールドのキャラクターとしてはずっと生き延びていたのだから,いずれヘビーな長編が執筆されただろうと思うと,作者の死が残念でならない。


-----------

今回の作品は,主人公・陶子の過去,そして病気が共通モチーフとなっており,さながら連作短編集のような様相を持っている。

扱われる美術品は,雛人形,画集,切り子椀,洋人形で,これまでのシリーズからするとやや制作年数が若い物で占められている。

主人公たちの過去につながるエピソードも豊富だが,やや語り過ぎという印象も受ける。それも踏まえて,少しシリーズに冷却期間を置くつもりだったのだろうと勝手に想像している。

-----------

一方で,北森鴻ワールドとのリンクはいくつか行われている。

まずは何度登場する池尻大橋のバーは,〈香菜里屋シリーズ〉で登場した〈バー香月〉だと思われる。本家(?)の〈香菜里屋〉も地味に1回だけ登場している。

〈冬孤堂シリーズ〉のスピンオフ的な位置づけの〈雅蘭堂〉の越名集治も調査で重要な役割を果たす。



こうして見ると,シリーズとしては生きていて次には長編が発表されていた,という想像は間違っていないように思える。ただし現実の世の中は残念ながらそう幸せには運ばない。

そろそろ北森鴻の作品群の読破も見えてきてしまっていて,シリーズごとにバランスよく読むように計画している。とにかく貴重な作家を失ってしまった。残念だが遺された作品を読むことが僕らが出来ることだと思う。オススメだ。

-----------
各編について簡単に感想を述べる。


「倣雛(ならいびな)心中」:眼に病気を抱えた〈冬孤堂〉に挑戦をするように,彼女のところにいわくつきの和人形が持ち込まれる。この人形は売れても買主から不気味がられて返されるということを3回も繰り返していたのだった。骨董屋生命を賭けて陶子が解明した謎とは?・・・またまた骨董業界の意地の悪さ,恐ろしさが描かれている。そうした中で凛と生きている陶子の姿は,この短編集の中で一番際立っていて美しいと思った。

「苦い狐」:美大生だった頃の宇佐美陶子に,画家として生きることを諦めさせた才能を持つ同級生・杉本深苗。彼女は卒業直前に自宅の火事で死亡していた。陶子の元に深苗の追悼画集の復刻版が送られてきたことが,不審な事件の始まりだった。・・・学生時代の陶子について語られる珍しい短編だし,ミステリーの要素にも珍しい部分がある。アーシル・ゴーキーという画家については知らなかったので調べてしまった。

「瑠璃の契り」:北九州の〈角打ち酒場〉で宇佐美陶子が手に入れた切り子細工の椀を見た時から,親友のカメラマン・横尾硝子の態度が変わった。この切り子と硝子をつなぐ謎とは?・・・工芸作品だけから作者を当てることはほとんど出来ないと思うのだが,それは陶子と硝子というプロ中のプロだから成立する設定なのだろう。前の短編同様に過去編が続く。

「黒髪のクピド」:陶子は元夫に依頼され,ある古い日本人形を競り落とす。それからしばらくして元夫が失踪したという。陶子は元夫と人形の由来を求めて九州へと旅をする。時代にそぐわないほど,リアルに造形された人形に隠された秘密とは?・・・中編の長さがあり,これが本来は長編になったのではないかと考えさせられてしまう。謎の女,調査を阻止しようとする人物の設定,陶子と元夫の関係など,設定も含めて盛りだくさんで中編としてももったいない。作者が生きていれば,この後の世界も語られたのに。









お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2017.12.08 21:07:47
コメントを書く
[びしびし本格推理] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: