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2019.01.07
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朝井リョウが小学生を主人公にして書いた作品を読んだ。
〇ストーリー

小学生3年生の太輔は急な交通事故で両親を失う。紆余曲折があり,「青葉おひさまの家」で暮らすこととなった太輔だが,両親と行くはずだった〈蛍まつり〉の時期に「家」の夏旅行が企画されていることを知り,それを邪魔する行動をとってしまう。だがそれから3年経ったとき,太輔はずっと頼りにしていた佐緒里姉ちゃんのため,そして仲間のために〈蛍まつり〉を復活させようと尽力する。その願いは・・・?


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最初は連作短編集のように始まるが,主人公も変わらないし,中盤からは短編もスッキリしないで終わるし,長編小説として受け止めている。たぶん,最初の短編から構想が広がって行ったタイプだと思う。

良くも悪くも着地点が見えないまま,いろいろなエピソードが流れてくる作品だ。

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最初はトイレがどこかを他人に訊くことも出来ないキャラであり,憧れの佐緒里姉ちゃんが少し先の町で何をしているのかも訊けない主人公・太輔だが,あるきっかけがあるとかなりの行動力を発揮する。
ただしそれが必ずしも褒められる方向ではないのが問題だと思う。
もちろん終盤は建設的な方向へとそれぞれのチカラが噛み合って,ラストを迎えるのだけれど,途中まではムッツリストーカー気質が目立つ。
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この作品を読んでいて,2つちぐはぐに感じる部分があった。
1つは主人公の年令が小学生ということだ。それゆえのもどかしさは描写されているのだけれど,作品全体としては,もっと大きなことを描こうとしている。作者,主人公,描きたいこと,があまり上手くマッチしていない気がした。表紙の絵に救われているけれど。
もう1つは,最後まで「これって辻村深月だっけ?」と勘違いをしたことだ。いかにも辻村深月作品っぽい,精神的にキツイ場面が何回も主人公と仲間たちに訪れる。ちょっと訪れ過ぎだけれど。読んでいてぐりぐりと心を削られる感覚,時系列の入れ替えでミステリーになっている流れなど,実に辻村深月だった。
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さすがに太輔と「家」で一緒の班にいる少年少女の生活が波乱万丈でディープ過ぎる,またあるトラブルを抱えてしまった子は3年経っても同じことに巻き込まれ続けているのは,やや不自然だった。

主人公・太輔は,3年間で弱虫からクラスの背の高い方で,リレー選手にも選ばれるようになっていて,だいぶ主人公補正が入っていた。

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この作品には『逃げてもいいんだよ』という明確なテーマがあって,それはきちんと伝わってくる。けれども主人公たちの1人は,家族のために自分の夢を犠牲にすることになっていて,その境遇とテーマでうたっていることのギャップについては,”これが大人の現実”として処理しているようで,違和感を感じた。
『逃げてもいい』のは,小中学生限定なのだろうか?結局無責任であり続ける時代だけ,としたら,語っているテーマと合っていない気がする。
もうちょっと違う流れでまとめてもらいたかった。せっかくの良い話だったのだから。





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Last updated  2019.01.08 22:32:09 コメントを書く


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