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2019.02.21
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朱川湊人を知るきっかけになった短編集を読んだ。

〇ストーリー
女子高生・樹里が自分の部屋でふて寝をしていると,母親が朝食をトレーに載せて持ってくる。それに手を付けずに学校へ向かった樹里は,近所のマンションの緑地で時間をつぶした後に,大遅刻をして登校するが,すっと教室の一番後ろに座り,誰からも話しかけられない。樹里に気付いて話しかけてくれたのは,マンションの遊び場で1人取り残されていた「リンゴちゃん」だけだった。けれども「りんごちゃん」の母親は・・・

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土屋太鳳主演で映画化された『赤々煉恋』を6年前に観た。それが僕が朱川湊人を意識するようになったきっかけの1つだ。

日常を切り取ったような短編が,いつしかぐらりと傾き始め,ホラー要素がにじみ出てくる・・・それがこの短編集のイメージであり,映画版もそれをよく再現している。

いざ朱川湊人を読み始めたら,昭和ノスタルジーのサスペンスホラーが多く,ちょっと違和感を感じていた。・・・が,本来の朱川湊人読者からすると,昭和ノスタルジーが元で,この短編集が異質だったという全く逆の印象らしい。どの作品で作家と出会うかで,いろいろ変わってしまうものだ。

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この短編集は,ホラー小説としても救いがなく後味があまり良くないものが多い。それでも,そこに至る過程の自然さ,構成のさりげなさ,そして少しずつ提示されるヒントなど,小説としてはとても面白い。



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各編について簡単に感想を述べる。

「死体写真師」:〈私〉のたった1人の肉親である妹・百合香は3年半の闘病もむなしく息を引き取ってしまった。まだ22才の彼女をそのまま荼毘にするのは忍びなく,〈私〉は恋人・晴紀が探してきた死者を生者のように写真を撮るというサービスを受ける。完成した百合香の写真アルバムは,素晴らしい出来で〈私〉は毎日それを眺めていた。だがそこに百合香が入院をしていた病院の看護師長が訪ねて来て,衝撃の話を伝える・・・ファンタジーかと思っていたら,たっぷりとホラーであり,しかもかなりダーク。冒頭の短編として十分なインパクトがあった。ありきたりのようでありながら,そのまま向こう側まで勢いで行ってしまったようだ。

「レイニー・エレーン」:佐原は妻子を持ちつつも,出会い系サイトを利用して女性と関係をもっていた。そんな中のありすと名乗る女性とM山町のホテルに入ると,彼女はその近辺で起きた一流企業OLが私娼をしていて殺害された話をする。実はその私娼は佐原の大学時代の知人・理華だった。あんなに真面目だった少女がどうして?と考えていると,ありすの中に理華と思われる存在が入り込む。そして・・・東電OL事件を下敷きにしたホラーで,必然的に男女の肉体関係が扱われる。ラストは気持ちの悪い部分がありつつも,朱川湊人らしい優しさが少し見える。

「アタシの、いちばん、ほしいもの」:女子高生・樹里が自分の部屋でふて寝をしていると,母親が朝食をトレーに載せて持ってくる。それに手を付けずに学校へ向かった樹里は,近所のマンションの緑地で時間をつぶした後に,大遅刻をして登校するが,すっと教室の一番後ろに座り,誰からも話しかけられない。樹里に気付いて話しかけてくれたのは,マンションの遊び場で1人取り残されていた「リンゴちゃん」だけだった。けれども「りんごちゃん」の母親は・・・これが映画版『赤々煉恋』の原作なのだけれど,さすがに良く出来ている。ヒントが少しずつ散りばめられていて,読者があることに気付くとこんどは次の問題が現れ,と少しも飽きさせない。ラストも秀逸。オススメだ。



「いつか、静かの海に」:暴力的な父親と2人暮らしだった小学生の克也は,近所に住む曽根という若者と知り合いになり,彼の部屋に出入りするようになる。曽根はそこで下半身のない美しい女性を献身的に介護して育てていた。だが曽根は徐々に体調を崩し,その女性を克也に託して死んでしまう。克也は・・・これはなんなんだろう?ホラー?ファンタジー?ちょっとラストは肩透かしだった。









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Last updated  2019.02.23 18:13:41
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