「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
100万ポイント山分け!1日5回検索で1ポイントもらえる
>>
人気記事ランキング
ブログを作成
楽天市場
139619
ホーム
|
日記
|
プロフィール
【フォローする】
【ログイン】
Rainbow Seeker
その3
その3
あれは1982年5月29日から30日にかけてのことであった。28日
夜、ローマ・テルミニ駅を発ち夜行列車で午前10時30分にアドリア海に
面したブリンジジに到着し、妻と共に夕方6時頃に出航するギリシアの船を
待った。この港に来たのは実は私にとっては2度目である。
その4年前もギリシアへ行くためにギリシア国のビザを取らずにここまで
来たのである。先にも少し話したようにバルセローナからローマまで一人で
24時間ぶっ通しで列車に乗っているとき、何人かの客が私のコンパートメ
ントを乗り降りしたが、その中の一人にとてもチャーミングなイギリスの女
の子がいた。彼女は数人のいわゆるギャルとともに旅をしていたのだが、私
のコンパートメントがその時私以外誰もいないガラ空き状態だったからだろ
うか、彼女だけがこの部屋に入ってきた。そして荷物を網棚に載せた。勿論
私も不器用ながら荷物を載せるのを手伝った。
彼女は僕の左隣の通り側に座った。すぐに彼女と親しくなり、いろいろ旅
の話をしているうちに昼になった。彼女がカバンから昼食のバスケットを出
し、開き始めた。無意識に私は窓の方に視線を移し、見るともなくイタリア
の美しい田園光景を眺めた。そして紙袋の音がして、一瞬静かになった時に
彼女の方をさりげなく見た。目と目が合った。すると「おひとつどうです
か」となった。当然私は「ありがとう。いただきます」と言った。このタイ
ミングが難しい。この時一度「ノウ」と言えば、もう永遠に「どうですか」
とは言ってくれない。サンドイッチや西洋なし(これがとってもおいしかっ
た)をいただきながら旅の話を続けた。彼女は向かいのいすの上にサンダル
を履いたまま、短い目の黒いジーンズから伸びる赤いマニュキアの綺麗な白
い足を乗せながらこう言った。「あなたはギリシアへ行きたい、行きたいと
言うけれども、確かにギリシアは綺麗なところだわよ。でもそれ以上に素晴
らしいのがヴェネチアだと思うわ。本当に美しいところよ。日程的にギリシ
アかベネチアか二者択一しなければならないなら、あなたは絶対ヴェネチア
へ行くべきよ」と。
そうか、ヴェネチアも行きたいな。でももう決めたんだから今回は日程的
に厳しいしギリシアに絞ろうと思った。そして私は夜遅く、船の出航時間も
何も調べず、ただギリシアへ行って白いパルテノン神殿と青いエーゲ海を見
るんだという一念で、このブリンジシにやって来たのである。鉄道の駅から
港まで直線コースをやや下りながら2キロぐらいアメリカ人や世界中の若者
たちとともに、多人数でどんどん歩いていく。凄い熱気である。全員バック
パックを背負っている。その光景は私にフランスのブローニュから夜、船に
乗り、夜明け前のドーバーに着き、随分離れた所にある鉄道の駅へ向かっ
て、とにかく前の若者の背中のバックパックだけを見ながら、一体感と興奮
と熱気を感じて歩いたのを思い出させた。その時、先頭を早足で迷わず歩く
数人のアメリカ人とおぼしき青年たちの姿の何と頼もしく見えたことか。
ところでブリンジジの話だが、若者たちの流れについて港まで行くと、ラ
ッキーなことにまもなく大型の客船が出帆するとのこと。急いでユーレイル
バスに幾らかのお金をプラスしてデッキで寝る、最もエコノミーなチケット
を買った。船はその付近から出るのだが、出国のスタンプをイタリアの税関
に押してもらわねばならないことを、いつの間にか一緒に行動していた二人
のアメリカ人の女の子に教わり、彼女たちと白い船を左に見ながら、200
メートルほど離れたビルまで走った。背中で赤いリュックが激しく揺れる。
立派なビルの3階にある蛍光灯の白い明かりが眩しい事務所でスタンプを押
してもらうやいなや、一生懸命船の所まで走った。
船は大型フェリーで、陸と結ぶために開けられた大きな鉄の扉の前に白い
制服を着たギリシアの税関が2人立ってこちらを見ていた。早く来いと言
う。我々が最後の乗客のようだ。もう必死だ。無事に乗船できた。「Ter
rible!」と額の汗を腕で拭きながら溜息とともに私が言うと、「Ye
ah」と2人が同時に呼吸を整えながら相づちを打った。彼女たちの白い歯
が爽やかだ。その後すぐに入国審査が始まった。不運なことに私から始まっ
た。私のパスポートを見てページを急いでめくり「ビザがないじゃないか」
とやたら目のぎょろっとした中年の税関が恐い顔をして言った。ドキッ!
「ビザがいるのですか」ととぼけてみた。すると彼はさらに恐ろしい形相に
なり、大きな声で奥の方に向かって何か叫んだ。動き出した船がウーンと唸
りながら、驚いたことに何と戻りだしたのである。そして再び大きな扉がゆ
っくり開き始めた。
彼は私に「降りろ」と命じた。扉は途中で止まったままの状態なので結構
高い。仕方ないから思い切ってリュックを背に飛び降りた。少し遅れてリュ
ックが背中を打った。怪我はなかった。すぐに船は再び前進した。私はしば
らくボーっと立って、小さくなって行く船を闇の中に消えるまでじっと見て
いた。彼女たちにさよならを言えなかったのがまことに残念だった。ギリシ
アは遠く、実際の距離以上にとおーく思え、だから一層いつか必ず行くぞと
固く心に誓った。しかも、この港から。
その晩から翌日にかけて、またそこでいろいろ話したい出来事が起こった
が、またの機会に譲るとして、僕はその後あの赤いマニキュアの似合う彼女
の薦めに従ってヴェネチアを訪れた。僕の期待をはるかに上回る本当に素晴
らしいところだった。こんな所が現実に本当にあるんだなと思った。それは
まるでひょっこりひょうたん島のような島がいくつか集まってできた、まさ
に「水の都ヴェニス」であった。特に映画「ヴェニスに死す」の最後の場面
に出てくるリド島のどこまでも続く白い砂浜は素晴らしかった。快い微風の
吹く中、眼前に広がるアドリア海の遥かかなたにあるギリシアを想いなが
ら、細い目をさらに細めて桂浜の龍馬の如く、私はいつまでも立っていた。
さて妻と2人の時の話だが、公園で横になったり広いレストランで時間を
つぶしたりしてやっと6時になり、今回は余裕があったから何事もなく無事
に乗船した。ビザの問題はなかった。というのは数年前に韓国・ギリシア間
はノービザになっていたからである。デッキで寝るチケット(船賃はユーレ
イルパスでOKだが、さらにデッキ代が一人6000リラ払う。日本円で1
500円位)だから外で星を見ながら寝るわけだ。寝袋はそれぞれ持ってい
たので、いい場所はなかったがそこそこの場所を見つけた。下の船室を見に
行った。広い大部屋には同じ方向に背の高い椅子がたくさん並んでいた。一
人の日本人の男性が女性が外で寝るのは良くないと余計なお世話を焼こうと
する。シャワー室もある。することもないし、ともかく寒いので早い時間に
寝袋に入った。なかなか寝付かれない。沖に出たのだろう。揺れが大きくな
り波しぶきが時々顔に飛んでくる。
私の寝袋のチャックが故障で途中までしか上がらない。とても寒いのでリ
ュックからセーターその他を取り出し、寝袋の中に入れた。妻の方は少しは
寒いが大丈夫だと言うので安心し並んで寝る。しかし凄い旅行になってきた
なと思った。彼女のことを思うと費用ケチらんとせめて普通の客室にしたら
良かったなとも思った。星がきれいだ。夜が明けた。美しい海をゆっくりと
船は進む。コルフ島に少し停泊し、乗客の乗り降りが行われた。下でシャワ
ーを浴び朝食を取ってゆったりとした午前を過ごした。10時頃にペロポネ
ソス半島の左上のパトレに上陸した。
一連の手続きを終えて港のオフィスを出て、とりあえずそこから一キロ程
のところにある鉄道の駅へ向かった。時刻表やアテネまでの所要時間等を調
べたが、随分待たされることが分った。それに対して、意外なことに同駅発
のアテネ行きバスを利用した方がユーレイルも使えるとのことだし、総合的
に考えてより便利だと分ったのでバスで行くことにした。正午頃だったと思
う。時間があるので、近くのカフェでコーヒーを飲む。うれしいことに日本
と同様まず水が無料で出てくる。他のヨーロッパの国々では決して見られな
いことだ。水はちゃんとした商品として扱われるのである。
バスの脇に荷物を自分で入れて座席に就く。パスは発車した。途中素晴ら
しい景色を幾度か見た。なかでもあれはどこなのだろうか、すごい断層があ
って下が恐ろしいほど深く、そこに海水が入っているところがあった。バス
はその上に架けられた橋をゆっくり渡った。途中2,3回食事タイムとか休
憩タイムがあったので一応何か食べることはできた。夕暮れが美しかった。
暗くなってもまだアテネは遠い。聞けば夜遅く着くとのこと。いつものこと
だがホテルを決めていないし、初めての都市なのでだんだん不安になってき
た。アテネの駅前にやっと着いたのは11時頃だった。バスから降り荷物を
担いでさあどうしようかと思案し、数人が駅前付近でホテルを探し始めたよ
うなので、我々も真似ようかとも思った。
だが、ここからどのようにして行けばよいのか分らないが、私の得ていた
数少ないアテネ情報によると、シンタグマってとこが若者、観光客が集まる
ポイントと聞いていたので、ともかく幸いなことにまだ走っている路面電車
に飛び乗りシンタグマへ向かった。七つか八つ目がシンタグマだった。降り
た後人々の動きとあまり詳しくない地図を頼りに賑やかな方を目指して、妻
と共に前かがみ気味に前進した。数多くの都市や町を訪ね歩いていると、不
思議に嗅覚が発達するのか本能的に人のたくさん集まっている所が分る。出
てきた! 出て来た!12時近いのに多くの裸電球に照らされた車の走らな
い通りでたくさんの観光客が外で食事したりビールを飲んだりしている。
人々の姿と声と音楽が私たちをホッとさせた。
ああ、あれがタベルナ(野外のレストラン)か。ともかくホテルを見つけ
てタベルナで食べようなどとギャグを飛ばしながら、暫しその光景に見とれ
る。しかしどのホテルを当ってもみんないっぱいで空き室がないという。え
らいことになってきたと焦り始める。もう少し当ってみようとしたが、もう
それ以上開いているホテルがないのに気付かざるを得なかった。同じ通りを
2,3回行ったり来たりしたと思う。時計を見ると1時を回っていた。もう
ここは開き直るしかない。とりあえず飯を食おうということになり、適当な
店を探した。少し繁華街から外れた所に落ち着いたそれでいて結構な数のお
客さんもいるタベルナを見つけ、そこに決めた。
やっと重いリュックを下ろし2人掛けの白いテーブルに座った。おいしそ
うな匂いを嗅ぎながら「疲れたな、腹減ったな」とお互いの顔を見合った。
シシカバブーを食べた。そりゃもう最高においしかった。ただ妻は羊が苦手
なので僕ほどではなかったようだが。コーヒーも飲みぐっと力が湧いてきて再
び歩く元気が出て来た。もうこうなったらなりふり構ってられない。野宿す
るしかない。適当な場所を探すためにどんどん人気のない方へ向かった。だ
んだん街灯が減ってきてうす暗くなってきた。案内板にアクロポリス左とあ
るのを発見し興奮した。あの世界史で学んだアクロポリスの丘か。
上り道になり出した道路をしばらく上る。それほど高くない木が数本立っ
ている野宿にはもってこいの場所を見つけた。しかし残念ながら胸の高さ位
の針金で作られた柵がしてある。エーイ、ここは言ってられない、越えるし
かない。人がいないのを確認して私から越えた。そして荷物を受け取り、妻
の手を持って下へ無事下ろした。彼女もなかなかやる。寝袋を出し、疲れて
いる彼女を寝かせ、私は寝ずの番を決め込んだ。その段階ですでに3時頃だ
ったと思う。突然頬に冷たいものを感じた。鳥かなんかのオシッコかと思っ
たが、それは何と雨だったのである。ガイドブックによれば地中海性気候で
あるアテネのこの時期はほとんど雨は降らないと書いてあるのにである。
空を見上げてどうか止んでくれるようにと祈った。そういえば先ほどから
気になっていたのだが、右の方にある高い丘の上に白い神殿風の石造の建造
物が立っていた。あれは何だろうなと気になったがその時は全く分らなかl
った。そうです。あのパルテノン神殿だったのです。夜が明けてその姿を見
て判然としたのである。願いが届いたのかしばらくすると、幸運にも雨が止
んだ。今度は誰かが自転車を引っ張りながら私たちの方へ近づいてきた。息
をひそめじっと彼の動きを注視していると、なんと彼は立ちションをして去
って行ったのである。ホッとすると同時に何をすんねや、おっちゃんーと思
った。少し横たわっていると空が白んできたので安心した。誰にも見られな
いように注意して我々は5時頃柵の外へ出たのである。タベルナの話はこれ
ぐらいにしておこう。まもなくマドリッドに着くようだから。
次ページ
へ
ジャンル別一覧
出産・子育て
ファッション
美容・コスメ
健康・ダイエット
生活・インテリア
料理・食べ物
ドリンク・お酒
ペット
趣味・ゲーム
映画・TV
音楽
読書・コミック
旅行・海外情報
園芸
スポーツ
アウトドア・釣り
車・バイク
パソコン・家電
そのほか
すべてのジャンル
人気のクチコミテーマ
コストコ行こうよ~♪
【ゴルフクラブ】ドライバー、噂に聞…
(2026-08-09 09:00:12)
☆手作り大好きさん☆
ABCクラフトあべのキューズモール店…
(2026-08-08 20:03:51)
100円ショップ
おでかけ ミニカーケース
(2026-08-09 02:37:59)
© Rakuten Group, Inc.
X
共有
Facebook
Twitter
Google +
LinkedIn
Email
Design
a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧
|
PC版を閲覧
人気ブログランキングへ
無料自動相互リンク
にほんブログ村 女磨き
LOHAS風なアイテム・グッズ
みんなが注目のトレンド情報とは・・・?
So-netトレンドブログ
Livedoor Blog a
Livedoor Blog b
Livedoor Blog c
楽天ブログ
JUGEMブログ
Excitブログ
Seesaaブログ
Seesaaブログ
Googleブログ
なにこれオシャレ?トレンドアイテム情報
みんなの通販市場
無料のオファーでコツコツ稼ぐ方法
無料オファーのアフィリエイトで稼げるASP
ホーム
Hsc
人気ブログランキングへ
その他
Share by: