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Oct 5, 2006
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10月23日 (月)

土日開けの寒い朝、私は突き刺すような風に当たりながら学校に繋がる坂道を上っている。


---何でこんな寒い日に、早くに学校に行かなきゃいけないんだろ。


心の中で 私は悪態をついた。

今日は班の日直で、私は 朝早く登校し窓を開け換気する、という係だった。

こんな係引き受けなきゃ良かった、と今更ながら後悔した。

首に巻いた茶色チェックのマフラーを、風があおった。

肌が枯れそうな感覚が、私の足をとどめた。




早朝だからなのか、学校の中は気味の悪い程静かだ。

心なしか、電気が付いているのに暗く感じる。

雰囲気が怖く、私はゆっくり下駄箱に向かった。

下駄箱を見渡すと、皆入っているのは上履きだけ。


---やっぱ誰も居ないかぁ。


少しガクッと私は項垂れた。

ふと、項垂れた私の目に ある人の下駄箱が目に入った。

同じクラスの 男子の下駄箱。

その人の下駄箱には、皆の下駄箱に入っているような白い上履きではなく、少し汚れて、踵の潰れた運動靴だった。

うちの学校の下駄箱は 名前ではなく、出席番号が書いてある。


---この番号って・・・。




運動靴の持ち主が解ったとたん、さっきまでの学校の雰囲気が暗い物ではなくなった。

急いで私は教室へ走った。

階段を上り、廊下を駆け抜ける。

寒いのなんか知ったこっちゃない。


だって、教室の中には・・・。









教室のドアを乱暴に開けた。

机、椅子、教卓、そしてその奥の窓枠には ビックリした表情の男子が1人座っていた。


「 お、おはよ・・・?どした、そんな息切らして 」


窓枠に腰掛けている男子は、目を丸くして私に挨拶し、質問も交えた。


「 え、やっ、別にっ 」


私は高鳴っている心臓を押さえながら 笑って誤魔化した。


「 そ?ってか、はえーな。何でこんな早くに? 」


誤魔化された彼は、私につられて笑っていた。

彼の笑った顔に、また心臓が高鳴る。


「 え・・・っと、係だよ係。まったく嫌になっちゃうよ~ 」


---治まれ、私の心臓・・・


冷静になろうと 私は彼から目を反らし、自分の机に向かう。


「 あー、あの係か。換気係だっけ?東野、じゃんけんに負けたのかよ 」


陽気に笑う彼は、寒くないのか ワイシャツ一枚だった。

私はその彼に名字を呼ばれて、顔を林檎色にさせた。

と、言っても 寒い風に打たれて、元々赤らめてたのだが。


「 うん、じゃんけん弱いんだよ 私 」


顔が赤くなった理由を悟られないように、私も陽気に返した。

そして、カバンを机に置き 席につく。


「 あれ?何かお前、顔赤っぽくね? 」


彼のその一言に、私がビクッと体を揺らす。


---やだ、バレたらどうしよ・・・。


そんな不安と期待が私の心を一気に曇らせる。


「 やっぱ今日寒いよなぁ 」


ガクッと、拍子を抜かれる自分。


---鈍感・・・。


やっぱ、此奴には気づかれないだろうな、と自分に言い聞かせる私。


「 そんな格好して言われても、何か説得力ないなぁ 」


彼の方を再び向いて、私が言った。

彼は私の言葉に笑った。


---ちくしょう、格好いい・・・


彼の笑顔に、私は何度心臓を揺らしただろう。


「 ってか、何で江籐もこんな早くに? 」


また揺れる心臓を押さえつつ、彼に聞いた。


「 あー・・・ 」


彼は、こちらに向けてた顔を外に向けた。

向ける少し前の瞬間、彼の顔が赤くなった気がした。


「 何ででしょう・・・ 」


少し、フッと彼が笑った。

変な沈黙が流れる。

その沈黙は、何故か気が悪くならない沈黙だった。

再び彼がこっちを向いた。

彼の顔は、私ほどではないけど 赤く頬が染まっていて、照れくさそうな顔だった。


---そう言えば・・・


私は土日前の、金曜日を思い出す。

日直の換気係を、黒板に記入していた人物を思い出した。


---もしかして・・・江籐は・・・



私は、彼の笑顔以上に その、照れた顔に心臓をバクバクさせた。

何故かこっちも照れてしまって、私は顔を伏せた。

そして呟く。


「 今日は、ホントに寒いね・・・ 」


「 おう・・・ 」


彼が顔を赤くさせた理由は、少しよく解らなくて

でも、今よく解ったのは・・・


換気係になって良かったって事。










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Last updated  Oct 6, 2006 11:10:20 PM
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