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セータはイオンに泣き付いて叫んだ。「なんだ、珍しいなあ、何があったんだ!?」セータは泣きながら、セータ:「俺をどうしても後継ぎにしようとしてるんだ、親父も、あの連中もグルになって」イオン:「おまえは嫌なんだな?」確認すると、セータは深くうなづいた。心は決まったイオンは、三者面談を待たずして、セータの案内で家に向かった。電車の中で、セータはずっと泣いていた。よほど辛い目にあったのか、イオンは庇いながら、「心配すんな、進路は最後にはセータ自身が決めるんだ。」武家屋敷のようなセータの家に着くと、親を呼びにセータが先に入って行った。「さすが、すんげぇ家だなあ、こりゃ!」しばらくして、親らしき人物が現れ、「いつも、セータが世話になっているね、上がって」富豪っぷりな口調でイオンを迎えた父親。薄暗い居間に招かれたイオンはしばらく1人待っていた。こんな純粋な和式は珍しい、昔からの家なのだろうか?やがて、父親と母親らしき人物がやってきた。「いつもセータ君がお世話になってます」といって、お茶を御膳に置いた。「あ、お構いなく、セータ、くんは?」すると、母親らしき人は部屋を出て行き、父親と二人きりになった。緊張しているイオン。父親がようやく親父:「あんた、クラウの子供なんだって?」唐突な言葉に躊躇したイオン。イオン:「あ、そうですけど、何故ご存知で?」すると、親父は血相を変えて、親父:「じゃあ、あんたが持ってるチップを譲れ!さもないと、息子は学校にやらん!」イオン:「なんて無謀な!セータ君には関係ないでしょ」親父は更に体を突き出して、親父:「関係あるんだよぉ!だからすぐに譲れ!」関係あるとはどういう事だ?それを使って量産すれば、本当の意味で金にはなるのだが、どうやら様子が違う。イオン:「いったい、誰が使うんですか?」すると、とんでもない答えが返ってきた。親父:「セータに決まってんだろ!」イオン:「それはまずい、惨い事です、子供にチップなんて、今まで例がありませんよ!」親父:「いいんだ、俺の息子なんだから問題ないだろ!」イオン:「そういう事じゃなくて、まだ発展途上な子供、セータ君に異変が生じて、意識がどうなるか解らない、危険すぎだ。担任として絶対譲れません!」冷静になって親父は、「じゃあ、今日付けで、学校を退学に、いいな」イオンは困った、チップを渡せば確実に組み込むつもりだし、渡さなければ退学、脅迫まがいな親父を見て、「こんな時、あの伝説の人達ならどう判断するんだろ?」人気blogランキングへ
2006.10.12
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チップの組み換えは5年前までは継続されていたが、考える必要性が減少してからは、チップを使う事が意味をなくし、今では、ガラクタ扱いされている、無いわけではなかったが、ある一定の富豪だけにしか出回らなくなった。ガラクタ扱いされていると言っても、一部の富豪やマニアの間では、高値でやりとりされるケースが多い中、賢くなってもっと金持ちになりたい、そんな意気込みな人間ばかりがチップを欲しがる。 しかし、本来、スヴェンの開発された純粋なチップは、そう簡単には手に入るものではなく、ほとんどが海賊版。限られた人間、一部のマニアか、イオンくらいだろう。イオンにはよく譲って欲しいというメールが相次いで送られてくるが、本人は未来のカギを握っている可能性もあり、譲る気にはならなかった。自分で使うことはないかもしれないが、よほど重要な事が起きたら、使う時が来るかもしれない。イオンは、出来れば使いたくはなかった。処分したい気持ちでいっぱいなはずだが、伝説の証であり、母親の手によって改良されたケア機能も搭載したフルスペックチップなため、そう簡単に処分は不可能だ。イオンは、セータの家庭とチップとの関係を調べる必要があると思った、セータの将来にかかっているかもしれない。少なくとも、伝説の過去を知っている事も踏まえている。「とりあえず、時期を待つか」近々、進路を左右する三者面談が予定されている。その時必ず親も同伴するから狙い目だろう。あの時以来、セータは学校に真面目に取り組むようになっていた。やはり進学に響くと感じたのだろうか。イオンもあのことは一切触れないようにしていた。ある日、セータがバイトしていた場所に行くと、名前が変わっていたのだ。「えっ、違う会社が入ったのかあ?」覗き見したら、以前とまったく同じ顔触れなのはどういう事か。「社名を変えただけか、それとも業務そのものが変わったのか、わかんねぇなあ」ひとまず立ち去ったイオンだが、後ろからセータがあのビルから飛び出してイオンの方に向かって来た。「なんだセータ、あそこに居たのかあ!」すると、セータが「助けてくれ、センコー、俺は嫌だって言ってるのに!」「どういう事だ!?」人気blogランキングへ
2006.10.11
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セータから受け取ったサンプルは、なんと、チップのかけらだった。イオンは唾を飲んだ。パッケージには、未来の象徴と書いてあり、配布元が「エイチブイシー」とある。「聞いたことないなあ、チップとはなんかのシャレのアクセかな」イオンはその時は何も考えずにそのまま学校に戻った。次の日、やはりセータが抜け出した。イオンはもう限界にきて、授業を実習にして、昨日の場所に向かった。昨日より早く来たせいか、まだそこには居なかった。イオンはしばらく待つことにした。20分後、セータとあともう一人、一緒に歩いて来た。もう一人は、茶髪でダボダボのズボンを履いたいかにも的な若者だ。イオンは飛び出して、「おい、考え直して、ここを辞めるんだ、学校はちゃんと最後までいなきゃだめだ!」すると、若者が、「なんだ、センコーかよ、この今時学校いらねえじゃんかよ!働く方が偉いと面わねぇかぁ!?」「何だって、親が出してる高い授業料を何だと思ってんだあ」すると、またセータが勝ち誇った口調で、「ウチは金持ちなんだよ、そんなんで苦労はしてねえんだ」隣の男も「セータは、自分の家族に嫌気がさして、自分で稼ごうとしてんだ、それが悪い事とは思えないがなあ」イオンは、ピンときた。そういえば、セータの親は政治家だった。しかもここの知事の側近とも言われている人物。その親と問題になっているらしい。「じゃあ、なんで高校に入ったんだ?全てが親の指図か!?」イオンがそう突っ込むと、黙って男と街の方に歩いて行った。イオンはそれ以上、口を出せないでいた。「親が考えてないって事は、子供も大人も、今の生活に慣れ親しんでいることになるな、子供の将来よりも世間体的な見栄だけで金をいいようにばらまいている親が増えている証拠だろう。」 よく考えると、セータがやっていることは、ある意味正しい選択って事になる。何も働かなくてもいいと考えているニートが多い中、親の手を借りないで、自分の力だけで稼いでその報酬を受け取る、かつてはそれが当たり前だったはずだ。その精神を失ったという認識ではなく、しなくてもよいという考え方しかできない今の時代、諦めの政治に、この世界を疑問に思っている人が存在することを政府がまだ知るよしもないだろう。人気blogランキングへ
2006.10.10
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イオンはとある公立高校の教師として、毎日、生徒と向き合う、イキイキとした少年のようなタイプのごく普通の人間だ。生徒にも親しまれ、課外特別授業として、あの伝説を取り入れた、リセット具現の意味と、スヴェン楽園理論を教えており、自分のクラス以外にも伝えている。イオンを気に入っている生徒は、伝説を正しく信じて、平和である今とうまく付き合って行く方法をみんなで考える時間が楽しかった。しかし、生徒の中にも、やはり反対する者が存在する。一人一人が同じ思いでいけるケースは、ごく稀なのかもしれない、でも、それくらいの対立はあった方が、生徒達の考えや育て方が見えてくるし、伝説の授業もしがいがある。イオンが一番気になっているのは、反対している生徒が、退学して、リセット派のグループに入ってしまうことを恐れていた。生徒だった人間と対立することが苦痛なこと、自分の力不足であることを他の生徒達に悟られる事だ。力不足を克服する材料としては、がむしゃらに社会勉強を自ら行い、リアルタイムな情報を得ながら、生徒達に教える資料として反映させていく努力も惜しまなかった。これも、自分と生徒との繋がりを大切にしたいという、イオンの最大の願いだった。ある日、いつものように、授業を行うイオン。朝の学活には居たのに、午後のホームルームの時には姿を消した生徒がいた。イオンは不安げに「なあ、隣のセータ君居たよなあ、さっきまで」すると、「居たっけ?覚えてないなあ」口裏を合わすかのような口調でイオンに言った。「わ、解りやすい奴だな、場所は?」「多分、あそこだ、あいつ、欲しいもんがあるって言ってたからバイトしてんだ、駅前かな」駅前でサンプル配りをしているらしい。彼は何が買いたいのか?「学校抜け出して行くほどのもんかあ!」授業が終わると一目さんに学校を飛び出し、セータを探しに駅へと向かった。走って20分ほどで駅に着いた。目の前で確かにサンプル配りをしている彼を見つけ、「おい、セータ、学校抜け出すとはいい度胸してんなあ」ビビってセータは、セータ:「この時間じゃないと雇ってくれなかったんだよ」イオン:「他のにすればいいだろ!?」すると、勝ち誇る口調で、セータ:「こう見えても時給高いんだよね、これ」イオン:「稼いで何を買うつもりなんだ?」セータ:「そりゃヒミツだよ」イオン:「このやろ...」セータ:「はいはい、これ持って行ってとっとと退散!」セータはイオンを追い返した。「なんだ、あいつ、ふざけやがってぇ」学校へ戻る途中、ふと渡されたサンプルを見てみる。「...これは!」人気blogランキングへ
2006.10.06
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イオンが抱く伝説の精神。それは、人々がこのような平和を望んでいたかどうか、全自動な生活が悪いというわけではないが、何か違う。政府も博士も誰もが諦めている中、イオンの考えはいかに今の生活に味を付けるか、である。味といっても料理ではないが、全自動であろうと他にやることがあるのでは、という提案である。悪く言えば「開き直り」かもしれない。でも、その開き直りが生活感を大きく変えるきっかけにある可能性を秘めていると信じている。かつての「楽園」を目指して・・・。もう一つ、動いている組織がまだ僅かだがこんな平和をうち消す者が存在する。いわゆる「無駄な平和をリセットする」集会。平和すぎることに飽きた者、変えていく自信がない者。すべてにおいてネガティブな集団。しかし、リセットするには、「最悪」を産まなければ具現化できない。集団の考える可能性は「謀反」。だが、過去の事件や戦争などの知識を持つ者がここにはいなかった。謀反を起こす手段を知らないのに、どうやって最悪を作るのか?まずは、知識のある人間を勧誘、または誘拐することだった。人気blogランキングへ
2006.10.05
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某資料館には、伝説の5人を記した書物はある、しかし、それを手に取る人は皆無、資料館の館長と、伝説を受け継いだ人物だけだ。こんな世の中に不満を持つ人はいなかった。むしろ、「勉強も仕事もやってるんだから何も問題ないだろう」何故勉強や仕事はするのか、それは、「退屈凌ぎか、運動不足を解消するため、あとは、ボケ防止かな」まさに勝ち組負け組の境目も、試験勉強とかの競争率もない、「勝ってもしょうがないし、負けてもどうってことないし」これに対抗するその人物とは、高等学校の教師。独身28歳、それ以外はごく普通の男性だ。伝説を受け継いだ理由は、何を隠そう、クラウとザイルの間に生まれたあの兄弟の一人、イオンなのだ。受け持った生徒達の気持ちを掴んで、理解してもらった者もいるが、ごく少数だった。中には、つじつまがあったいい話だと言って出版するかとも言われたこともあるが、これを事実と受け入れることはなく、出版したとしても、本当とはとらず、勘違いされるだけだ。伝説の真実を強引にさらけても逆効果であることを悟るイオンのすべき事、それは、ある一定のレベルまで学力をアップさせること、ある一定の範囲で競い合いながら団結心を持たせること、それに、伝説の真実を理解して頭に入れて欲しいこと。大人には理解しにくい、出来上がっている人間より、まだ若い生徒達を通して浸透させる事が、将来の社会を立て直す近道になるとイオンは信じている。最悪のない今、あのリセットも伝説になり、それを知る者もごく一部を除いてはおそらくいない。ごく一部の人間とは、実際に最悪を味わった事がない若者が抱いた平和過ぎる世の中をリセットすることを考えているグループがあった。理屈はわからないが、リセットとはどんなことかは、あの伝説の本にも記されているが、それを真に受けたグループといったところだ。「平和をリセットする方法」平和過ぎるのは最悪ではないかと唱えているグループ代表。実際、リセットボタンは、世の中が最悪の事態になり、もう修復不可能となって初めて具現される、自然現象の類。イオンは、今の現実を活かした生活方法を、グループは、今の現実をリセットして新しい方法を、真っ向の挑戦が、今始まろうとしていた。
2006.10.04
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時間だけは絶え間無く、限りなく、そして、合いも変わらず流れている。まるで世界を嘲笑うかのように。時を刻みながら時代は変貌し、社会が変わり、そして人間の考えも、変わらない時に流されていく。いつの時代も変わらない時に左右され続けた人間もあらゆる考えを生み出しては懲りない悪を生んできた。しかし時間と同じく変わらないのが同じ過ちを繰り返す事くらいだろうか。ばれない方法や詐欺の手口が変わるだけで、どんな形から入っても結果が同じだったりするが、いい加減懲りないのだろうか?そんな者に対してリセットを押してやりたい。エスカレートする交通事故、うっかり不注意なのは誰にでも起こりうるが、酒酔い運転はいただけない。不注意とは言い難く、プロの運転手がそれをやる自体おかしい話だ。職業を失う危機に迫られ、資格と一緒に人間としても失うことになるが、隠れて犯すものとは違い、酒が人格を変えて本当の自分自身をさらけ出しているかに思える。苦しい、自信ない、情けない自分を変えてくれる最悪の薬に身を任せ、本当の自分をリセットしたかった結果にも見える。自信喪失な人間が増えているのは、最初から失敗から逃げていること。この世の中、付いていける者といけない者、それが、どこからどこまでが罪なのか、というボーダーラインを見極め出来なくなったり、かつては技術職人だった写植版下も、パソコン普及で減少し技術としてではなく、道具とした扱いになり、平等になったと思えば、それに付いていけない職人は行く先を絶たれてしまうという、本当は怖いこの現実社会。ITに難無く対応する若者が偉いというわけではない、付いて行けない中年が情けないわけでもない。技術が進み、環境が変わる流れが、競争のような早さで人間が付いていくにはかなり厳しいことになっている。果たして、そんなに急いで競争する必要があるのか?早い事がそんなにいいことなのか?開発する者は常に次へ次へと考える事が仕事なら、競争することがビジネスの最先端を行く事で、その皺寄せがきている事も、充分考慮してほしい、と言いたい所だが、そんなビジネスがあるわけない、金にならない事は誰もやらないから。心の底から世のため人のために考え行動する人間が、自信を持って、今を生きている人間が、少ないながらも存在している。現実に立ち向かう事が、リセットを押す権利を得るのだ。人気blogランキングへ
2006.10.03
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この25年間、伝説となっていたある5人によって培った世界が楽園として確立させた最初の世界と言われている。それが話題となり、次々と人が来るようになり、やがて、受け継ぐ者は、他の場所に楽園を増やしていった。そう、リセットがもう20年近くも発動していない。もう事件も事故をも恐れない自分づくりを唱えている。しかしここである落とし穴があった。年が経っていること自体は問題ないが、25年間無事件無事故が、逆に忘れさられてしまうという恐ろしさがあった。平和という意味を取り違うと大変な事が起こるのだ。何も起こらないから平和、穏便にいくから平和、黙っていれば平和...。戦いもなく、競争もなく、規則正しいだけが果たして平和というのだろうか?普通が何事にも返られない幸せと以前から言っているが、普通とは何だろう?ただ時間が流れているだけが幸せなのか?ここからの章は、忘れ去られた醜い過去になった世界、平和過ぎた世界の物語。ここには、スヴェン含む5人衆が残した伝説をある人物だけが託されていた。時は近未来。進み過ぎた社会は、進化が止まり、慣れ過ぎた世界になって、誰もが無難な生活をおくっていた。メンテナンスも要らず、故障もなければ作業も要らない、全てがオートメーションになったのは、少子化にも触れなくなり、成り行きに人口が減っているのが要員だった。いくら咎めても、とうとう解決しなかったのだろう、政府も少子化問題を問題にしなくなったのだ。している事と言えば、通勤通学に変わりはないが、学問や仕事のレベルが大幅にダウンしていた。なぜなら、この世界には、考える事が必要なかったからだ。もうこれくらいでいいだろう、と政府が意見を固め、それに対しての疑問が出なかったのだ。これ以上便利になったってコストがかかるだけだし、余計な事は考えたくない。それこそが平和なんだと、政府は唱えて、それに不満に思う人間がいなかった。言ったところで、最後まで責任をとるのも面倒だし、そんな時間があったら昼寝するよ、と人々は言う。あのリセットはこのためにあったのだろうか?人気blogランキングへ
2006.10.02
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