poco a poco~くららんびより

あの日の約束


大声で叫んだよ。波に負けないくらい。
風に麦わら帽子とばされた、夏だったね。忘れない。

裸足で海を蹴飛ばし、もつれあってずぶぬれ。
服のままで、なんどもなんども
投げられて笑ってたね。
そんなことが嬉しかった。

日差しにちりちり、腕が焼けてくよ。
あなたの影にかくれて。そしてKISSして。
魚になって泳いで。そしてしがみついてた、夏だったね。
忘れない。

なんどもなんども。確かめ合って。
明日もあさっても。これからもずっと。

夕日が沈んでくよ。
肩寄せ合って、じっと見てた。ぎゅっと手をつないで。
お土産にひろった貝殻。ダッシュボードに並べてみた。
夏だったね。忘れない。



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暁の空の下、
寝ぼけた目をこすりながら、
最初のキスをしたね。
背中にまわしたあなたの腕の
確かな強さが
私、本当に大好きだった。

あいしてる。
あいしてる。
あいしてる。

なんど、口にしても、足りない気がした。

今日明日、あさって。毎日毎日が
私とあなたの、ストーリーを作る。
喧嘩して泣いた日も
肩を叩いて笑いあった日々も。
ずっと、いつまでも続くと信じてた。

ありがとう。
ありがとう。
ありがとう。

そんな寂しい台詞も、今なら言えるわ。


あいしてる。
あいしてる。
あいしてる。

なんど、口にしても、足りない気がした。

そんな寂しい台詞も、今なら言えるわ。


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あなたの本心をはかりかねて
私はその腕の中から飛び出してきた

いつだってあなたのものになりたかった。
あなたのそばにいたいと
眼で、指で、いつも精一杯伝えてきた
そんな私を抱きしめてはくれなかった
いつだってあなたは大人だった

なのに
抱きしめられた時、私はこわくなって逃げた
このまま堕ちて行くのがこわかった
やっぱり私は子供だった

好きでした…あなた。
今なら静かに、その胸に甘えられる
でも私はもう、あなたのものには、なれない


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たった一つの障害が乗り越えられなかった2人。
手を離したら、もうお互い傷つけ合うだけだった。

今頃どうしているだろうか?
同じナイフを、今も隠しているのだろうか?



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懐かしい道だね。2人よく手をつないで歩いた。
今はもう子供じゃないから、そっと腕に手をかけるだけね。
この道を歩きながら、いろんなはなしをしたね。

あなたに出会わなければ、今はきっと違う人生だった。
この道を歩く時も、涙が止まらなかったはず。
いつもありがとう。
この落ち葉の絨毯をふみしめながら、
来年も、これからもずっと2人、歩いて行こうね。


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砂浜にしゃがみこんで
海風に背中を向けて花火した
晩夏の夜。

激しく燃えて、七色の火花を散らして
しゅうっと音を立てて
消えていった。



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私たちは夢のように暮らしてきた。
日のあまり差さないあの部屋で、
笑い、泣き、喜び、悲しんで、
それでも、明日を信じて
光の中で暮らしていた。
うまくいかなくて、途方にくれても、
歌を口ずさめば、気持ちは晴れた。
買い物袋をぶら下げて、
絡めた指をふりながら、あの部屋に帰った。

就職が決まって、卒業して
部屋を出るとき、私たちは、
夢から覚めた、白けた顔で、
それでも最後の握手の時は、
その手の力強さに、少し戸惑った。
(こんな手だったんだ…)
その手は離れて、バイクにまたがり、
ちょっと笑って手を振って
テイルランプは遠ざかった。

夢のように私たちは暮らしていた。
何も怖いものなんて、なかった。
終わりが来るなんて知らなかった。


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風の吹きすぎる土手の上を、
自転車で走った。
秋の夕暮れ。
川面の小さな波が、キラキラ夕日に光り、
人々の影が長く斜面に落ちる。
草のざわめきなの?かすかな川のせせらぎなの?
あなたの声が、
懐かしい声が、耳をかすめた。
振り返ると、鉄橋の向こうの夕闇が迫った。


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さよなら。最後にかわしたのは、その一言だけ
唇も触れ合わずに、背中を向けた。
木漏れ日の中を、顔を上げて歩いた。
泣いた顔、誰に見られたって良かった。
今、振り返ったら、あのひとも振り返ってるかもしれない。
それくらい、私たち分かり合えた。
でも振り返らない。
あのひとも、それを望んでいるなら。


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もしも可能なら帰りたい。はねをあげて走って行きたい。
輝いていたあの時代へ。
もしも許されるなら、あの瞬間に戻れるなら、
きっと選んでいた。もうひとつの道。
つながっていたあの頃は、約束なくても会えたのに
糸が切れた今は、偶然にも会えない。2度と、会えない。
たぐりよせようとしても、指先は空をきるだけ
淋しさだけが、私のものになった。
わがままも、笑い声も、強がりも、ためらいも
ただ、あなたが好きだったから。
もう2度と、会えない。



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