カスミソウ


覚えているかしら?
私をかすみ草の様だといった
私は痛いぐらい覚えているのに

貴方のカスミソウに成りたかった
「小さくても凛としていて無邪気で
傍に在るだけで癒される」
其の言葉を永遠だと願った私には
報われるときなど来るはずもなかった

残酷過ぎる現実は実際で
今想えば貴方は永遠など誓っては居なかったね
其れでも永遠を欲した
欲深き私には
救いなど来るはずもない

貴方の居ないこの世界には何の意味も成さなくて
其れでも生きていることは余りに重罪で
逃れられない世界から逃げ出そうとした最後の選択
「さようなら」
誰よりも愛していたよ

誰よりも愛しているよ
誰よりも欲しているよ
今でも何も変わらないのに

私を見捨てた貴方
道端に咲く私を無造作に摘んで捨てた
其れでも尚、其れが貴方であるなら本望で
最後に触れた貴方の手は
少し冷たかった

愛していたのに
耐え切れない現状は
積み重なる重罪

貴方のカスミソウで在りたかった
永遠などこの世にはないけれど
貴方のカスミソウで在りたかった
叶わなくとも
貴方の傍で咲いていたかった
二度と届かぬとも
もう一度触れて欲しかった
二度と伝わらなくとも_

貴方のカスミソウには成れそうもないのかな
「清い心」など持ち合わせてなくて
唯在るのは「切なる願い」だった

「清い心」「無邪気」
「切なる願い」

二度と届かぬ思い
白い花弁に垂らした赤い雫

カスミソウ

「さようなら」

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