放浪の達人ブログ

生まれた年

   【生まれた年】

久し振りの休日に自宅でゴロゴロしていたら玄関のチャイムが鳴った。
宅急便だろうかと思ってドアを開けると1人の警察官が立っていた。
「ちーっ!ガサ入れかあ」と思い、走って逃げ出そうという考えが脳裏をよぎる。
逃げれば警官は拳銃を撃ってくるかも知れないから超高速ジグザグ走りをせんといかん。
何とか銃弾6発をやり過ごした後はどの細道を逃亡ルートに使おうか?
あるいはどこかで人質を取って立てこもるか?いや、立てこもりはマズい。
こちとら武器を持ってないので、いとも簡単に踏み込まれて終わりである。
やむを得ん、車を盗んで逃走じゃい。「おらおらー、停まれ!」キキーッ!
「バッキャロー!突然飛び出してきやがって!ひかれてえのか!」「うるせえ!車から降りろ!」
「うわあ、車ドロボー!」ブロロ~ン!「へっへ、この盗んだ車で逃げ切ってやるぜ」
ウ~~。「ちーっ!もうパトカーが追いかけてきやがったか」「前の車、停まりなさい!」
ガーンガーン。「うおお、サツのやつ、撃ってきやがったか、こうなりゃとことんカーチェイスだぜ」
「・・・あの、斎藤さん?」警官の問いかけにフッと現実に返る。「住民調査に来たんですが」
なあんだ、住民の転入転出調査だったのか、余計なアブラ汗をかいちまったぜ。

そして玄関先で家族の名前を記入したのだがここで問題にブチ当たった。
子供の生年月日の月日は分かるのだが生まれた年がわかんないのだ。
西暦ならわかるけど平成何年かがパッと出てこないのである。
そもそも俺は歴史が苦手だ。(関係ないか)いい国作ろう鎌倉幕府(1192年)のように
西暦ならわかるが延暦何年とか天保何年とかはサッパリわかんねえ。
年配の人なら太平洋戦争勃発は昭和16年と思い浮かぶだろうが、
俺達の世代は昭和16年というより1941年と習っているからだ。
ついでに弁解させてもらうと俺は洋楽ロック、しかも1960年代後半から70年代が好きなので、
たとえば昭和51年ならば「1976年、ストーンズがブラック&ブルーを発表した年か」などと
全てはストーンズのアルバム発表年が基準であり、昭和とか平成なんて年号は困っちゃうのである。

そんなんだから俺の頭の中ではただ単に「平成=新しい」とインプットされている。
以下も皆さん心当たりがあるだろう。会社の新入社員の生まれた年を訊いた時に
「平成2年です」なんて答えられると何かビックリというか衝撃的というか、
「平成!?まあ若いわねえ」と言いながらも昭和生まれの自分達が前世紀の遺物のように思い
少し取り残された感じというか、時の流れの早さ、無常さを思い知らされてしまうのである。

平成生まれの皆さん、この気持ちは今にわかるようになる。
今の天皇が死んで現在の皇太子が天皇になった時、また新しい年号に変わるのだ。
年号が変わってしばらくは新しい時代がやって来た感じがして硬貨を見るのも楽しいのだが、
数年も経つとだんだん平成が遠い昔に思われはじめると共に昭和などすっかり忘れ去られ、
その20年後に新入社員を相手にした時、平成の次の年号の人を驚きを持って受け止めるのだ。

昔ってもっと年号がコロコロ変わってたらしいんだよな。人間の寿命も短かったし
天変地異が起こると年号変えてたらしいからさ。2年や3年で変わることが多かったみたい。
もういっそのこと西暦一本で通して欲しいと思っちゃうんだよね。

それにしてもせめて自分の子供の生まれた年ぐらいは覚えといた方がいいな、と思った
先日の昼下がりの警官による自宅訪問であった。


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