放浪の達人ブログ

ガラパゴス



土曜日の夜に名古屋駅の西側で久し振りの女性と再会する機会があった。
以前会った時は俺の男友達も一緒で、彼が会合場所をセットアップしてくれたのだが
今回急に彼が来れなくなり俺と女性の2人きりで会うことになった。
そこで俺が落ち着ける会合場所を探さねばならなかったので
「食べログ」なんぞを見て色々検索してみたのだが途中で嫌になった。
どうやら俺には事前調査とかは向いてなくぶっつけ本番が似合ってるらしいのだ。
店を検索して予約し「ああ、ここだ」というマニュアル通りの行動が
情報に乗せられて流されているだけの気がして何とも滑稽に思えてしまったのだ。

「ええい、行けば何とかなる」という安易な考えで女性と会ったのだが当日は土曜の夜だ。
どの店もいっぱいだし俺はケータイを持ってないのでどこにどんな店があるかも分からない。
結局女性と会合する雰囲気とは程遠いラーメン屋で食事をしたのだが
「う~む、やはり食べログなんぞで検索すべきだったな」と反省することになったのである。

俺は海外に行くにもガイドブックは読まないし宿すら現地に着いてから探す。
その右往左往が逆に新鮮でそれこそが旅の楽しさであると考えているフシがある。
しかし日本国内で行動するのは海外ぶっつけ本番よりも難しい。
公共交通機関は分刻み、みんな端末機器で行くべき場所を事前チェックして
スケジュール通りに行動し、人と会い、調べてあったメニューを注文してスマートに過ごす。
それが一般的でありもはや常識である。俺にはそれができない。
俺は「自分らしく本能的に行動する」と豪語していたはずなのにイザとなると
それは非効率的で時代遅れの行動パターンとなっていたのだ。
数ヶ月前に「食べログのレビューやらせ事件」が世間を騒がせていたが、
実はそういう情報を鵜呑みにして流されていた方が効率が良くスマートなのかも知れない。

さて、そんなグダグダ会合から帰ろうと名古屋駅に行くとちょうど電車が到着。
寸分の狂いもなく動き出した列車内の乗客はみんなケータイをいじっておる。
しかも皆さんの機種を見ると圧倒的にスマートフォンが多い。
アイフォンだとかスマートフォンだとかガラパゴスだとかアンドロイドだとか、
ケータイを持ってない俺にはその区別がさっぱり分かんないのだが、
「日本は世界のガラパゴス(世界から隔離されて独自の内的進化を遂げている場所)」と
冷たく揶揄されているその日本の中で更に乗り遅れている情けない自分を発見したのだった。
列車の外をメリーゴーランドのように回る街の夜景をボンヤリと眺めながら
何だか自分だけが取り残されているような哀愁を感じた冬の夜であった。
会社内で若い社員と会話が合わない中年の人ならこの気持ち分かってくれるよな?(笑)

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