放浪の達人ブログ

記憶障害

    【記憶障害】

俺は記憶力が非常に悪い。人の名前や顔や道路を覚えるのが苦手である。
今どきのアイドルAKBやモモクロなんぞメンバーの顔と名前が1人も分からない。
どれも同じような化粧をして安っぽい愛想笑いを振り撒いているだけの気がして
生身の人間のような感じがせず、ただの人形を見ているだけのような感覚なのだ。
「それはオマエがジジイになったせいだ」と指摘されればそれまでだが、
たとえばさっきまで会っていた友人が何色の服を着ていたか、と思い返すと
それすら思い出せないのである。(会ってどんな会話をしたかは覚えてるけど)
道路にしてもそうだ。無機質で何の代わり映えもしない安城や豊田などは
何度通っても道順を覚えられずに「日本のどこか知らない街」を走っている気になる。
商店街に新しい店が出来ると、数ヶ月前までそこに何の店があったっけ?と
もう全く思い出せないし、その新しい店の前を何度も通っているはずなのに
「この新しい店、いつできたの?」と助手席の家族に訊いてみると
「もう1年以上経ってるよ」とか言われて愕然としたりする。
これって重度のアルツハイマー病なのか?と我ながら不安になることもある。

しかし、おかしなことに豊田や名古屋の街では迷子になるのに
たとえばバンコクのごちゃごちゃした迷路のような街に久し振りに行っても
全く迷子になることもなく路地裏を思い出して歩けるし、現地の知り合いに
「やあ、久し振りだね、元気にしてた?」と顔も名前も覚えているのだ。

山を歩く時もそうだ。夏に1度行ったことがある登山道を積雪時に歩いても
「この先には大きな岩があってそこを右に行けば稜線に出られるな」とか
「確かここには夏になると黒百合が2輪並んで咲いてたっけ」などと
異常に些細な景色までありありと思い出せるのだ。
そして自分がやってるネット販売の膨大な在庫状況もしっかりと思い出せる。
「この商品の在庫はあと7個ぐらいあって、あの棚の上から2段目に保管してある」と
完璧に状況を把握できているのだから不思議だ。

つまり俺の潜在意識は「興味のない物事に対しては記憶に留めようとしない」のであり、
興味のあることには異常なほどの記憶力を持つという軽い脳障害があるのかもなあ。
ここで読者の皆さんにちょっと記憶力テストを一緒にやってもらいたい。
「昨日の晩ご飯は?」これはしばらく考えると多分思い出せるだろう?
「では2日前の晩ご飯は?」ほら、なかなか思い出せないだろ?
俺はなんかいつもそんな感じなのである。

綾小路きみまろの漫談の中でこんなセリフがある。
「言ったことも忘れ、言おうとしたことも忘れ、忘れたことも忘れました。」
そのうち俺もその域の仲間入りをして、先月号のリバに載せた自分のエッセイを読んで
「俺、こんなのいつ書いたんだ?」と思うようになったりするのかなあ?(苦笑)


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