放浪の達人ブログ

流行りのスポット

    【流行りのスポット】

数ヶ月ほど前に知人から通称「モネの池」の画像を見せてもらった。
クロード・モネの描いた「睡蓮」そっくりの池が岐阜県関市にあり、
池の透明度の高さによって鯉が空中を泳いでいるかのように見えるのだ。
「これは実際に行って堪能してこよう」と思っているうちに
テレビやネットで話題となり見物客がどんどん押し寄せたようで、
もうそうなれば俺は行く気が失せてしまうのである。
よくあるのがダイヤモンド富士だとか、どこどこの桜だとか言って
同じポイントに三脚立てたアマチュア・カメラマンが並んで撮ってるやつ。
あれは絵葉書の見本通りに写真を写してるだけであって独自性の欠片もねえよ。

絶景というものは人混みに紛れて見ると有難みが減る気がする。
独り、或いは気の知れた少人数で呆然と立ち尽くして見たいのである。
まあいわゆる「独占願望」っちゅうやつだわな。
俺は夕焼けや夜明けを見るために山で一夜を明かすのが好きだ。
周りには誰もいない中で寝袋にくるまって朝陽を眺める。
白けただけの朝もあれば燃えるような朝焼けに遭遇することもある。
見物人が多い人気スポットというのは既に絶景が保証されているようで、
予想外の驚きや感動が薄れてしまっている気がしてしまうのだ。

もちろんその感動的な光景を他人に教えることに抵抗はない。
むしろ自慢して画像を見せるし自分の体験をブログにもアップする。
ただ、テレビやブログでよくあるのがこんな紹介の仕方だ。
「この旅館、教えたくない隠れ家的スポットだけど特別に教えちゃいます」とか
「知られたくない秘湯だけど特別に大公開」だとか、なんか矛盾してねえか?
人間ってそういう謳い文句に反応して行きたくなっちゃうんだよね。
まあそれを見越しての集客ビジネスって手もあるんだけどさ。

自分だけ特別でいたい、って願望はみんな持ってるからね。
俺はよく知らねえけどさ、スナックとか高級クラブとか風俗関連で
そこの女の子から名刺もらってワクワクしてる男っているじゃん?
名刺の裏には手書きで「また来てね」だとか色々書いてあってさ。
或いは自分だけ特別に電話番号やメールアドレス教えてもらったと思い込んでさ、
「俺だけはどうやら特別なお客らしい、いや、客ってのを通り越したか?」と
全くもって独りよがりのムフフ妄想に突っ走ってるヤツっているんだよな。
相手はそう思わせることが狙いだからね、皆さんほどほどにね。

特別って言葉同様に地域限定、期間限定、数量限定って言葉もそそられるだろ?
正直言って俺だってネット販売で「限定」って言葉使って商売するからね。
あとは「少々難あり」って商品タイトル、これほぼ確実に完売しちゃうよ。
おっと、「知られたくない売り文句だけど特別に大公開」しちゃった!


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