放浪の達人ブログ

機内サービス

   【機内サービス】

仕事でアジアに買い付けに行くので飛行機に乗る機会はまあまあ多い。
とはいうものの俺は貧乏旅行が好きなので格安航空券を毎回利用する。
往復チケットだけを買って宿は現地到着後に自分で探すというタイプだ。
数ヶ月前はタイ往復2万9千円のベトナム航空を利用した。
ベトナム航空の機内食は美味しかったなあ。
かと言って機内食や機内サービスに重点を置いているわけではないが、
今回は機内サービスの面白かった航空会社を紹介しよう。

中華系の航空会社で機内食が出てきた時の話だ。
「お食事はビーフかフィッシュか?」と英語で尋ねられたので
「ビーフをお願い」と答えると「ビーフはもうありません」との返事。
だったら最初からビーフとフィッシュのどちらにするか?なんて訊くんじゃねえ!

中東のガルフ航空はエアコンがガンガンに効いていてムチャクチャ寒い。
ブランケットはCAさんに頼んだ場合のみ持って来てくれる。
宗教上の理由からか機内映画上映もないしヘッドフォンで聞ける音楽サービスもない。
その代わり大きなスクリーンに「只今のメッカの方向」という矢印が表示されて
数分から十数分に少しずつ矢印の方角がチラリと動き、乗客は余りにヒマ過ぎて
その矢印がほんの少し動くのを見ることしか楽しみがないのである。

ネパールのヒマラヤ山間部を飛ぶ定員30人程度の小型飛行機は
フライト・スケジュールは「風速次第」という曖昧さだ。
ヒマラヤの谷間を飛ぶだけあってビル風のように強風になるし、
風で煽られて両側の雪山に激突するという事故も結構多いらしい。
村の旅行代理店でチケットを買う際、航空会社によって料金がまちまちだ。
「なぜ同じ区間なのに値段が倍も違うのだ?」と尋ねると
「安い方は落ちる確率が高いし、墜落した際の補償金があるかないかだ」と言われた。
貧乏旅行の俺は安い方の航空会社の飛行機に乗ったのは言うまでもない。
墜落しなければそれで万事OKなのだ。

俺が乗った時は数日前から風による欠航が続いていて搭乗希望者が空港に溢れていた。
空港といっても山間部の平坦な広い敷地の隅に小さな掘っ建て小屋がある程度だ。
飛行機は上空から降りて来るのではなく、谷間から上がってやって来る。
飛行機に乗り込んでも座席指定番号などない。早い者順に好きな席に座るのだ。
左右1列しかないのでどこに座ってもヒマラヤ山脈を見ながらのフライトが楽しめる。
しかも安い飛行機なら数千円程度なのでコレはお薦めである。

離陸前には飴1個と綿(わた)の小さな塊が配られる。
「はは~ん、急激な気圧変化に備えて飴を舐めていなさいってことだな」と理解した。
飴の袋はネチャネチャしていた。ということは、この綿はおしぼりの代わりってことね。
なかなか気がつくサービスじゃんか。俺は飴でネチャついた指を舐めて綿で拭いた。
するとネパール人の乗客の一人がおもむろに綿を半分にちぎって耳の穴に突っ込んだ。
それを見て他の乗客も「なるほど!気圧対策の耳栓ね!」と理解して真似をした。
しまった!俺の綿は飴を拭いた後なのでネチャついていて耳栓にはできねえ...。

「え~、当機では安全上の理由のため席を立って右や左に揃って移動しないで下さい」
乗客がヒマラヤを見るために片側の窓側に集まると傾いて墜落する危険があるってわけか。
そんな感じでアジアには色んな機内サービスがあって面白いのである。


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