放浪の達人ブログ

披露宴の演出


結婚披露宴の挨拶やスピーチには禁句がたくさんある。
別れる、切れる、離れる、死ぬ、戻る、嫌う、再び、苦しい、最後など
いわゆるマイナスの言葉は使ってはいけないそうである。
例えば「嫌う」は「好きではない」、「スタートを切る」は「スタートラインに立つ」、
「最後の言葉」は「結びの言葉」など、縁起の良い単語を使うようにするそうで
司会者も「料理が冷めないうちに」は「料理が温かいうちに」と言うそうだ。

今月初めに長男が結婚式を挙げた。
披露宴ではこんな俺がモーニングスーツを着て両家代表の挨拶をした。
俺はきれいな言葉を並べるのが苦手である。
ということで、敢えてってわけではないが挙式にそぐわない言葉も挨拶に入れた。
「私は以前、息子と新婦と一緒に雪山に登ったことがある。寒くて暗くて辛い...」とか
「ちなみに結婚という山は”魔の山”といわれていて遭難、道迷いが多い...」とか、
まあオチとして「2人で手を取り合って暮らしてくれ」という感じに持って行ったので、
その程度のマイナス言葉は別に言ってもいいだろうと思っている。

最近は結婚式に参列するよりも葬式に参列する方が圧倒的に多いが、
俺の同級生で未だに独身のヤツもいて、きっと彼は結婚しないだろうけど、
俺は友人を代表しての挨拶をドス黒くやってみたいという欲求がある。
結婚は人生の墓場だ、幸せなのは最初の3ヶ月だけだ、毎晩の風呂掃除は亭主の係、
小遣いは月1万円、寝る部屋は別々、話し相手になってくれるのは犬だけ、
台風の日に限って屋根に上って雨漏りを直してくれだとか用水路見て来てくれと言われる、とか
涙ながらに訴えるようにスピーチをしてやりたいと思っている。
参列者のおっさん達も哀しく頷きながら耳を傾けるはずであろう。

友人が再婚した際のスピーチをやらせてもらえるとしたら
「結婚は判断力の欠如、離婚は忍耐力の欠如、再婚は記憶力の欠如」という名文を出し、
「オマエ、元妻との結婚生活の悪夢をもう忘れたのか?」とエピソードを連発し、
「元妻への慰謝料や子供の養育費など重くのしかかってるのに再婚おめでとう」とか
新婦側の怒りを買うというのも面白いショーとなるだろうな。

一昔前の披露宴では新婦が衣装替えのために一時退出している時間は、
親戚のおっさんの歌とか祝電披露とかで時間を潰して間を持たせていたのだが、
最近の結婚式は新郎新婦の誕生から幼稚園、小学校、高校、2人の交際中の写真を
スクリーンに映して親戚や友人は笑顔で見ていることが多い。
いよいよ式も大詰め、新婦から両親への感謝の手紙という「泣かせの演出」も
後方のスクリーンでは新婦の子供の時の写真や親と行った旅行の写真だとかを映し、
新婦の両親が泣かずにはいられないほどの演出を施す。
親戚のおばさんも思わずもらい泣きの時間帯である。

更に式場の専属カメラマンはもちろんのこと、ビデオ係もいて
披露宴の一部始終を録画しながら裏方のビデオ編集者に画像を転送し、
披露宴の最後にはドキュメンタリータッチでムービーを流す。
挙式前の準備から始まり、ヴァージンロードを歩く新婦の父と娘、指輪の交換、
披露宴会場の参列者の笑顔など実に上手く編集して披露宴のエンディングにする。
いやあ、ホント最近の結婚式は感動させるのが上手いよ。
最近では葬式でも故人のムービー流す会場あるからね、もはやエンターテイメントだよ。

まだ独身の皆さんは結婚式のために、もうじきあの世へ行かれる予定の皆さんは
写真や映像などを今からでも遅くないからガンガン撮って保存しておくといいかもよ。

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: