放浪の達人ブログ

山での遭難

    【山での遭難】

残雪期の山は道迷いや低体温症や滑落による遭難が多い。
俺も毎年元旦には雪の中の御在所岳を深夜から歩くし
GWは岐阜県の2000メートルほどの残雪の山を歩いて小屋泊まりをする。
初夏になっても3000メートル級の山には雪が残っている。
登山道は雪に埋もれているので頭上の枝に結ばれた赤リボンを目印に歩くか、
雪崩の危険がある谷間をそのまま直登する場合もある。

18歳の時から登山をやっているので初心者よりは山を知っていると思うが、
そういう”自称”山屋こそが実は遭難の危険性が多いらしい。
「自分は大丈夫」と自意識過剰になっているのだ。
俺はピークハンターでもないし百名山制覇という目的も持っていない。
ただのんびりと人間の少ない山の中を歩きたいだけなのだ。
防寒装備は万端だし引き返す選択肢も持っている。
それなりの飲み物と食糧も持って行くし雨ならば山行きを中止する。
しかしGPS機能がついたスマホはおろかガラケーは持っていない。
俺が遭難したらきっとネットで叩かれるだろうな。

山屋にとってアイゼンを履いて雪の上を歩く感触はたまらない喜びだ。
しかし毎年恒例の如く今年のGWも中高年の遭難が相次いだが
曇りや雨の日に山を歩いて楽しいか?と思ってしまう。
今年のGWは前半は悪天、後半は晴天となった。
俺も「さて、GW後半は山に行こう!」と思っていたのだが
丁度スリランカ人の知人が来日しており、一緒に食事をしたり観光に行ったりで
山小屋泊の山行きが無理になったので最終日に日帰りで行こうと思ってたら、
庭の木の剪定をしてね!と愛妻からの絶対的命令が下されて山行きは夢と消えた。

さて、俺は山での遭難はしたことはないが食糧で問題を抱えたことが2度ある。
1度目は18歳の時にシャツにスニーカーという恰好で残雪期の八ヶ岳に登った時だ。
何も知らない初登山、深夜に鎖場を使うルートで登頂したのだった。
深夜2時に八ヶ岳の最高峰に登頂したが突風が吹き荒れてて1分で下山開始、
そのまま真っ暗な道なき道を歩き、行き止まりの崖で朝陽を見た。
同行の先輩が「こんな時のために缶詰めを持って来ているのだ」と自慢げに言ったが、
当時の缶詰めはパカッと開く缶ではなくギコギコとフタを切るタイプで、
彼は缶切りを持って来てなくて2人は野獣のように缶詰めを岩に叩きつけたりしたものの、
結局開かずに空腹のまま何とか麓に辿り着いたのだった。

もう1度は去年次男と白山に登った時のことだ。
食糧は途中のコンビニで買おうと深夜に自宅を出発したものの、家を出てから登山口まで
あろうことか一軒のコンビニもなかったのである。
白川郷のコンビニは朝6時開店で、あと4時間も待てんということで他のコンビニを検索するも、
車で1時間以上かかる町まで行かねばならなかった。
仕方がない、歩いて4時間ほどかかるが山頂近くの小屋で食糧でも買おう、と
これまた深夜の登山道を空腹のまま小屋まで歩いて到着したのだが、
山の上は輸送コストの問題でカップヌードルが300円、しかもお湯と割り箸が100円だった。
その割り箸はごく普通の物だったが、貧乏性の俺は持ち帰って来て今でも大切に使っている。


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