放浪の達人ブログ

桜城橋(さくらのしろばし)



妻がコロナワクチンを接種するために西三河庁舎に行った。
その際に運転手として同行したのだが駐車場間近で大渋滞になった。
「注射が終わったら桜城橋の上で落ち合おう」と言って彼女を降ろし、
俺は対岸に車を停めて時間潰しに桜城橋を歩いてみることにした。
桜城橋は西三河庁舎のすぐ北側にある広大な歩行者専用橋だ。
全長121M、幅19M、広さ2000平米で地産のヒノキを使っている。
歩くとヒノキの香りがして実に清々しい気分になる。

橋というものは特異な形状にすれば観光名所にもなる。
例えば京都の渡月橋、山口県の錦帯橋、静岡県寸又峡の夢の吊橋などだ。
岡崎市も驚くような外観の橋を作ってネットで宣伝すれば
観光誘致に結び付く可能性は充分にあると思う。
ただし矢作川に架かる橋はただでさえ渋滞しているので
乙川などの小さな川に架ける橋の方が個人的には良いと思っている。

さて、桜城橋を歩いて渡ってみたが橋の上からの景観はイマイチだった。
ビルの谷間に岡崎城がチラリと遠望できるものの他の魅力がない。
春ならば桜並木が見渡せて日本の情緒たっぷりなのだろうが、
桜の花の命は1年のうちのほんの1週間である。
残りの350日以上は景観的に魅力が薄れてしまうと言ってもよい。
そこのところを考慮して別の樹木も合わせて植樹するのも案かもしれない。

なんて真面目っぽく語ってしまったが、それよりも俺が心惹かれたのは
桜城橋の下の広さである。これは棲み付くのに格好の場所ではないか。
普通の橋の下ならばトラックの通るドンドンという振動音がするので
騒音に紛れながら暮さねばならないのでストレスが溜まる。
しかし桜城橋は歩行者専用橋であるから騒音はない。
夜中もぐっすり眠れそうである。秋には虫の声に包まれながら眠れるぞ。
おまけに幅が広いので台風時でも雨風の降り込みにも対応可能だ。
しかも鯉のミカちゃんもたくさん泳いでいるから寂しさも紛らわせられる。
もう究極の橋の下生活が出来るのではなかろうか。
もし今住んでいる家を妻から追い出されたらココに住もう。
携帯式プラネタリウム投影機を持ち込んで橋の下面に投影したり
地面にペグを打ち込んでハンモックを吊って昼寝したり
橋の下がゆえに音が響くからハーモニカなんぞを吹いてみたり、
いやあ、この橋の下は夢の隠れ家になる素質に溢れているぞ、と
夢心地の妄想をしていたらワクチン接種を終えた妻がやって来た。
一気に現実の世界へと引き戻された桜城橋体験だったぜ。

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