りゅうちゃんミストラル

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邦画

2005-11-09 14:52:072005-11-09 14:51:572005-11-09 14:52:072005-11-09 14:51:57ネコ宙返り お気に入り邦画 ネコ宙返り2005-11-09 14:52:072005-11-09 14:51:572005-11-09 14:52:072005-11-09 14:51:57

ネタばれあります!内容は随時更新します。

★評価は5段階です★

転校生(1982年)★★★★
監督  大林宣彦 
出演  小林聡美、尾美としのり、佐藤允、樹木希林、宍戸錠、志穂美悦子

こうした映画紹介のページを作るなら、この映画を最初に紹介したかった。
いい映画だ。私はこの映画を観て尾道に行ってしまったくらい。
尾道は海と山がくっついていて、夕日が美しい場所だった。 
「時をかける少女」「さびしんぼう」とともに、「尾道三部作」と呼ばれる。
内容は中学生の男女の体が入れ替わってしまうというもの。
カラーと白黒を組み合わせたのは、「オズの魔法使い」と同じアイデアである。 
(後に製作された「チルソクの夏」でもこの手法は使われた)
SF的内容だが、「オズの魔法使い」や「バックトゥーザフューチャー」でもそうだったように、
最初と最後は同じだが何かが違う。そこがまたいいのである。
音楽は「天国と地獄」「G線上のアリア」だが、 これは監督が音楽に金をかけられなかったためと聞く。
しかし場面にすごくマッチしている。この音楽を耳にすると私はこの映画を思い出す。
小林聡美が走って終わるラストシーンは、何度観てもいい。
「ひとつの話は終わって、また新しい話が始まる」ということをうまく映像化した。

幸福の黄色いハンカチ(1977年)★★★★
監督、脚本 山田洋次
出演 高倉健、倍賞千恵子、桃井かおり、武田鉄矢、渥美清

「邦画はつまらない」という常識は、この映画によって覆された。
人は誰でも幸せを願っている。それは他人の幸せであっても同じだ。
この映画の観客は、みんな高倉健演じる男の幸せを願っているし、 その想いがかなって満足する。
どうして車で旅をする若者と旅先で会った人との物語でこんなに多くの人が感動するのだろうか?

ある本に「この映画の主人公は武田鉄矢ではないか?」という話が載っていた。 なるほどと感心する。 
高倉健演じる男は単に武田鉄矢演じる青年の「引き立て役」であるという解釈だ。

泥の河(1981年)★★★★
監督  小栗康平
出演  田村高廣、加賀まりこ、蟹江敬三  

宮本輝の同名の小説を映画化したもので、モノクロである。
少年の出会いと別れが時代背景とともに描かれている。

貧乏はつらく、そうした映像を見ることもまたつらい。
その中にも誠実でほのぼのとした田村高廣の父親役が救いとなっていた。
特に息子の友達の母親が売春しているという話を聞いて、 怒り出す場面と、
小さなコップを使った手品(?)の場面は忘れない。
日本映画もこうした作品があるのだから、もっと評価されていい。

耳をすませば(1995年)★★★★
監督 近藤喜文
製作プロデューサー、脚本、絵コンテ  宮崎駿
声の出演  本名陽子、高橋一生、立花隆、室井滋、露口茂、小林桂樹
原作  柊あおい

言わずと知れたスタジオジブリの作品。私は多くの作品中でこれが一番好きだ。
ジブリ作品にしては珍しく飛行船や海賊、魔法が出てこない。
主題歌の「カントリーロード」が印象的。 
ひたむきな中学生の姿は、「援助交際」や「薬物問題」が言われている今日、
すぐ先の進路に悩む中学生がすごく新鮮に映る。
この作品のモデルは聖蹟桜ヶ丘。 電車に乗る場面でも、出てくるのは京王線だ。
私はこの映画を観てモデルとなった地に行ってみた。

「耳をすませば」の舞台、聖蹟桜ヶ丘

この映画に関する評論では「どうして実写で表現しなかったのか?」というものがある。
確かにこの映画には魔法も飛行機も、海賊も出てこない。実写でも表現はできた。
ただ「どの表現方法を選ぶか」というのは表現者の自由だ。
こうした評論に対する私の考えは、「高橋尚子に水泳をやれとはいわないでしょう?」である。
実に簡単だ。

監督の近藤喜文氏は1998年1月に亡くなった。
次回作が観たかっただけに実に残念。

耳をすませばのページ 耳をすませば通信 耳すまNET's

となりのトトロ(1988年)★★★★
監督、原作、脚本  宮崎駿  音楽  久石譲
声の出演  坂本千夏、日高のり子、糸井重里、北林谷栄

あまりにも有名な作品のために、書くことがないくらいだ。
この作品は姉のサツキに感情移入した。強くもない、普通の姉。
しかし母親の不在によって「母の代役」をしなければならない状況にある。
その役割を果たそうとするサツキには大いに感動した。

ネコバスやトトロは存在自体が奇跡だが、サツキもまた存在が奇跡だ。
奇跡は気がつかないだけで実はすぐそこに存在するものなのだ。
場所のモデルは狭山丘陵とのこと。

この映画を観て「古き良き時代の平和」ばかりに目が行くことを、 宮崎は激しく批判している。
この姉妹は母親がいなくてちっとも幸福ではない。 

櫻の園(1990年)★★★★
監督  中原俊
出演  中島ひろ子、つみきみほ

いい映画である。ある女子高の創立記念日。
年に一度の演劇は決まってチェーホフの「桜の園」だった。
この映画はその一日を描いたものだ。
上演の日、部員の喫煙がばれて演劇の上演が中止になりそうになる。
果たして幕は上がるのか?部員たちの不安がよぎる。
主役の子、主役の子に思いを寄せる子。舞台監督の子。
それぞれにドラマがある。
彼女たちの「心の演技」をぜひ見てほしい。
何でもない日常を、「実はこんなことがあった」という描き方に新鮮さを感じる。
この映画を製作するためにある女子高の通学路近くで張り込み。
スタッフが女子高生の言葉をメモしていたそうだ。 
部室でのキスシーンもドキドキする。

野良犬(1949年)★★★★
監督、脚本  黒澤明
出演  三船敏郎、志村喬、淡路恵子、木村功

私は黒澤映画の中で、この作品が一番好きだ。拳銃を紛失した若い刑事と、 
ともに行動することになったベテラン刑事。とにかく一度観て欲しい。 
試練は人を大きくするか?それとも潰すか?

鬼畜(1978年)★★★★
監督  野村芳太郎
出演  緒形拳、岩下志麻、小川真由美

原作は松本清張。人間の醜さを描く。事実が基になっているとのこと。
我々はこの映画を真剣に見る必要があるだろう。
なぜなら、今でも(もっと?)親による虐待が絶えないからだ。
人は誰もが鬼畜になり得る。この映画の主人公だけではない。
人は教訓を自分には生かさない。人ってバカ?

生きる(1952年)★★★★
監督 黒澤明
出演 志村喬、千秋実、小田切みき、左卜全、山田巳之助、藤原釜足

人は何のために生きているのだろうか?
志村喬演じる目立たない公務員はその答えを教えてくれる。
今も昔も役所は「タライ回し」が得意だ。
主人公は今までの自分とは違った「自分の意味探し」を始める。
「始めるのに遅すぎることなんてない」というのがこの映画のテーマではないか?
ただ私には主人公が亡くなった後の時間がいやに長く感じられた。
そのことだけが残念だ。 

天国と地獄(1963年)★★★★
監督 黒澤明
出演 三船敏郎、仲代達矢、香川京子、三橋達也、木村功、志村喬、山崎努

原作は「キングの身代金」(エド・マクベイン)。
シューズメーカーの社長(三船敏郎)の息子を狙った誘拐事件が起きる。
ところが犯人は息子の代わりに運転手の息子を誘拐してしまう。
特急列車の窓から身代金のカバンを投げるアイデアは、今の新幹線では不可能。
この身代金受け渡しの現場に、私は行ったことがある。

ところで「天国」とはどこにあるのだろうか?そして「地獄」とは?
犯人の最後のセリフから考えてみたい。 

青春デンデケデケデケ(1992年)★★★★
監督  大林宣彦
出演  林泰文、 浅野忠信、日下武史、尾美としのり、岸部一徳

直木賞受賞作である芦原すなおの小説を映画化した。
青春を音楽に賭けた若者たちの姿を描いた爽やかさのある映画になった。
「夏の思い出がほしい」という女子高生の言葉がドキドキだ。 





番外編「これはひどいよ!」の日本映画

シベリア超特急(1996年)★なし
監督、脚本  水野晴郎
出演  水野晴郎、かたせ梨乃

シンガポールでパーシバルに「イエスかノーか!」と恫喝した山下奉文陸軍大将。
有名なシンガポール会談の場面だ。この山下大将役に水野晴郎が出演。
シベリア鉄道に乗った山下大将が出会う殺人事件をミステリーで追う。
山下にも刺客が迫る。大将自らこの事件を探偵のように解決する。

私はこの映画をうまく表現することができない。 
この映画ってまじめに作っているのか?それとも喜劇なのか?
水野晴郎の棒読みセリフが笑えもしない。

模倣犯(2002年)★なし
監督、脚本  森田芳光
出演  中居正広、藤井隆、津田寛治、木村佳乃、山崎務

ベストセラーになった宮部みゆきの原作を映画化した。 
女性を誘拐し監禁。そして残虐に殺す二人組。
家族を誘拐された側と誘拐する側。
その二つの面が描かれるが原作と比較して別物になっている。
正直のところ日本映画史上に残る出来の悪さに驚く。
これでは日本映画が衰退するのは当たり前。
宮部がこの映画を観てどう思ったのか是非とも知りたい。



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