January 1, 2014
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カテゴリ: 身辺雑記
新しい年を迎えて、まずするべきことは年を越せなかった人たちのことを思い起こし、記すことだ。

1月、映画監督で元京都府学連委員長だった大島渚が死んだ。

映画館で2度見た映画はたくさんあるが、3度見たのは大島渚の「愛のコリーダ」とテオ・アンゲロプロスの「旅芸人の記録」だけだ。

大島渚とは一度だけ話したことがある。1981年頃、キネ旬友の会札幌かシネブラボー北海道だったか忘れたが、映画愛好家の団体が大島渚を招いて講演と映画の夕べを開いたことがあり、その打ち上げで隣の席になった。もしかするとその場ではぼくが圧倒的に最年少だったから配慮してくれたのかもしれない。

上映された作品が何だったかは忘れてしまったが、講演の内容はおぼえている。映画を2本作った年がいまでに2度あった。1960年と1970年であり、学生運動が盛り上がったからだ。1985年くらいにはまた学生運動が盛り上がると思うので、そのときはまた映画を2本作りたい・・・という要旨だった。

1970年代後半の学生の急激な保守化・内向化を知っていたから、1985年に学生運動が高揚するとはとても思えなかった。85年には国鉄闘争や三里塚闘争、反核運動の高揚はたしかにあった。だが60年や70年のように層としての学生が運動に立ち上がることはなかった。

大島渚ほどの人物でも現場から離れると判断を間違うようになると思い、そのことを肝に銘じたのをおぼえている。

生意気な盛りだったし、ちょうどゴダールの「ヒア&ゼア」を見た直後だったので、帝国主義本国の芸術家の表現活動は、第三世界人民に対してどういうスタンスでなければならないと考えているのか、というような質問をふっかけた。

彼はそれに対しては正面からは答えなかった。「オレは帝国主義者だと思われている。ゴダールは映画祭で顔を合わせても挨拶さえしてくれない」とグチった。



いまなら、当時すでに明らかだった赤色クメールによるジェノサイド、連合赤軍の同士殺しに見られるような共産主義の暗黒面についてどう考えるとか、元京都府学連委員長としての見解をきいてみたいと思う。政治と芸術の関係について、多角的に話をきいてみたかった。

打ち上げの席では、売れない俳優が大島渚にからむ一幕もあった。「黙れ、バカモノ」と一喝した、あの大声がなつかしい。

映画の内容から昭和天皇について議論が始まったとき、主宰者のひとりがやはり一喝して議論を封じた。

「天皇、あんなものは成敗すればよろしい」

札幌弁護士会の会長だった。

5月、バイオリニストの潮田益子が死んだ。71歳。

札響定期で一度だけ潮田益子を聴いた。曲はチャイコフスキーの協奏曲。場所はいまはなき札幌市民会館だったから1970年代の後半か。指揮者とか、ほかのことはいっさいおぼえていない。

演奏は非常にシリアスなものだった。いささか俗っぽいところのなくはない曲から心の底からの「歌」をきいた気がした。あんなに深く音楽の中に入り込んだ演奏は、バイオリンでは黒沼ユリ子のひく広瀬量平の協奏曲をきいたときだけだ。マリア・カラス級の音楽に接した数少ない機会のひとつだった。

彼女に比べれば、いまの若手バイオリニストの演奏できくにたえるものは少ない。コンサートではしかたがないから最後まできくが、放送や録音では数分でやめることがほとんだ。

暮れもおしせまった12月21日、三里塚空港反対同盟事務局次長、萩原進氏が逝去した。忘年会の帰り道、突然の急逝だったという。69歳。

「われわれは竹槍と鎌を持った。本日われわれは武装した」



11月3日の国際労働者集会(日比谷公園)で元気な姿を見たばかりだった。いつもデモの先頭を歩き、強烈な存在感があった。萩原さんがいるだけでこの闘争に負けることはない、そんな安定感さえ感じた。

いつも顔色はよく、心臓に持病があったとは知らなかった。数回、救急車で運ばれたこともあったという。

持病をおしながらの営農と闘争、全国へ支援を訴える旅は負担だったにちがいないが、そんなことは微塵も感じたことがない。

萩原さんへの唯一の追悼は、成田空港を廃港に追い込むことだ。機動隊をせん滅して国家権力を奪取し、成田空港の建設と維持に加担した輩の首を何千、何万と討ち取ることだ。

悲しみに沈んでいるヒマなどないし、萩原さんもそれをのぞまないだろう。

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最終更新日  February 5, 2014 12:29:53 AM
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