小人

小人

うなぎ



ヌルヌルヌルヌル
ヌルヌルヌルヌル
ウナギはてらてらした体をクネクネさせてズルズルと動いていました

その沼には二匹の大ウナギが住んでいて
もう長いこと沼の主のようになっていました

ウナギ達があまりに大きく気持ち悪かったので
他の魚はなかなか住めませんでした

住めないどころか、辺りには生臭いニオイが立ちこめ
水までヌルヌルしてくる始末

それもそのはず、ウナギの体をネバネバの粘液が分厚く覆っていたのです
通常のウナギの10倍はあろうかという厚さです
これはもう立派なお化けウナギです

ある日のこと、余りの気持ち悪さに村人の一人がウナギを退治しようとしました
しかし、掴もうとすればするほど粘液の量が増え
掴んでも掴んでもヌルヌルヌルヌル
ヌルヌルヌルヌルと手をスリ抜けてしまいます

そんなワケで、その沼は誰も近寄らないウナギ沼となってしまいました
唯一の救いは、ウナギが二匹ともオスだった事です
これで子供が出来る心配はありません

しかしオスと分かって、村人はより一層気持ち悪く思うのでした
なぜなら、二匹はいつも仲良く絡み合い、ヌルヌルヌルヌル
ヌルヌルヌルヌル、ズルズルズルズル、ズルズルズルズル
まるで雌雄のつがいのように体を擦り寄せ合っていたからです
互いのヌメリを讃え合いながらね

ウナギの本性
それはスリ抜けること
粘液につつまれて安全に暮らすこと

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