2014.03.02
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2014/03/02




*「税抜き」価格表示に変更します、よろしくお願いします。(商品価格自体に変更はありません。)

春のような暖かい日が続き…毎朝の焙煎での投入温度や火力が真冬バージョンにさよならしました。日曜の今朝は雨で寒くなっていますが…まぁ、暖かくなったり冷え込んだりの繰り返しで春ですね。

お陰さまで…「桜ぼんぼりカフェ」「ミモザカフェ」で春の訪れを感じていただいています。あとは「グアテマラ・ラリベルタッド」が予想以上の人気で驚いています。おゆみ野店での試飲は「ニカラグア・エンバシー」ですが…はじめてのお客様が「美味しい♪」ってその上品な味わいが好評です。香りに敏感な女性は「ニカラグア・エンバシー」のスパイシーさを言葉にされますね、素晴らしいです。

そんなこんなで…開店以来20年の常連のお客様が「とやま弁志の輔らくご」のDVDを貸してくださいました。富山出身の方で帰省された時に志の輔師の富山での独演会を楽しみにしていらっしゃるそうです。

志の輔師も富山出身で…とやま弁落語を富山だけでしていて、そのDVDも富山だけで発売しているんですね。1枚目は「こぶとり爺さん」「花見小僧」「唐茄子屋政談」の3席で…2枚目が「ディアファミリー」「ねずみ」なんですが…これが、知っている洋画を字幕無しで観るくるいの感じでしょうか?ところどころしか分からないんです。

いつもの志の輔師のリズムやメロディと違っていて、笑いが不自由なんですね。ふだんなら気持ち良くリズムとメロディに身を任せて、クスッと笑ったり、ジーンときたりするんですが…DVDの客席からの笑い声と噛み合わないんです、貴重な体験でした。

で、志の輔師の兄弟子立川談四楼師の「一流の人はなぜ落語を聞くのか」を読んだら…談志師から厳しく叩き込まれた話しが紹介されていました。談志師の本やCDDVDは勿論ですが…お弟子さんや関係者からの情報もまめに集めるようにしています。そうやってどうやって芸を磨いているのか?芸の裏側を知りたいんです。最近本を書くお弟子さんが多いので助かります。

まず…「落語は高座を重ねることで上手くなるものです。「高座百編」という言葉があります。高座にまさるものはありません。いくら壁に向かってしゃべっていてもダメ。お客さんの前で演ることが何より。また、いきなり上手くなることもありません。」で膝ポンとなりました。



次に…「続けていくなかでふと気づく。あれ、ひょっとしたら少しは…そういうものです。「おお、落語らしくなってきたねぇ。」その目安になるのが、登場人物の会話、そのやりとりの妙。大家さんと八っつぁんが噺のなかで上手く動くようになると、当人にも自信が芽生えてきます。登場人物の一人だけに頼らなくても済むようになるからです。噺に広がりも生まれてきます。」

なるほど!!ですね。こういった落語家はほんと気持ち良く噺に入って行けますし、その噺の世界が見えてくるんですね。

談志師の言葉が続きます…「若い職人が出てくると…「お前、この職人の年はいくつだ。何歳のつもりでやってるんだ?」」…「どっから仕事場まで通ってるんだ?妹はいるか?親父は死んでお袋は手内職、そんな暮らしか?ヤツは自分の将来をどう思っているのか?想像力を働かせろ。もっと考えろ。」

談四楼師…「とっても難しい注文だけれども、しかし、ある程度イメージできると、その人物に命のようなものが宿ってくるのも事実なのです。」

談志師…「いいか、大家を訪ねても、そのウチがどんな間取りか思い巡らせ。少なくともハチ公が住んでいる九尺二間の棟割り長屋とは違うはずだ。それよりも上等な住まいのはず。ガラッと戸を開けると三和土、土間があり、上がり框がある。許されて入る部屋はいつも居間だ。そこに長火鉢がる。その情景が頭に浮かぶか?」

談四楼師…「もっと細部=ディテールに厳しい事もあります。居間の長火鉢の上に鉄瓶がかかっている。朝に霜柱が立った日だ。その鉄瓶がちんちんと音を鳴らし、湯気を昇らせている。炭の臭いも鼻をくすぐる。灰に火箸が刺さっている。縁が温かいから、その上で猫が寝ている。婆さんは奥だ。お勝手はあっちのほう…。その図が頭のなかに描かれてるかどうか。そうでないと登場人物との距離感が掴めないのです。」

この談志師の教えははじめてでした、とっても嬉しいです。

談四楼師…「大家さん、こんちわ。」これだけで演者の頭に見取り図が浮かばなければなりません。戸を開けたら、すぐに何が見えるかが分かる。呼吸、情景、雰囲気が手の内に入る。」…「商人はまた違う。「ごめんください!ごめんください!」「はーい。お待たせしました。あの、どちら様で。」ちょっと間がある。女将らしきものがでてくるまで、若干の時間がかかる。店に奥行きがあるからです。大店の大きさ広さがそれで伝わる。スケール感。」…「許せよ」「あっ、これはどうも…。いらっしゃいまし」侍が来たことが、お武家様という言葉を使わなくても判明する。ここから会話の妙が生まれる。」

昔読んだ黒澤監督の話しで、焼け跡のセットでそこに焼ける前の生活が見えてこないとダメだそうで。どういった家族で、台所がどこで水道がどこでやかんや鍋とかが焼け跡にどう残っているか。映画は壮大な嘘ですからディテールに嘘が見えるとお客さんは気持ち良くストーリーに入って行けない。リアリティが大切なんだと。

談志師の教えも黒澤監督のエピソードも全く同じです。表面にでていないところで、どこまで見えているか。そこから魅力が伝わってくるんでしょう。

それと 「さかもとこーひーの美味しさのつくり方」がどう繋がるのか?



常連さんがどんな暮らしをしているのか?…こーひー飲む時はどんなシーンなのか?…ひとりふたり大勢?…家族や友人お客様、オフィス?…食後、ちょっとひと息おやつと一緒に?…お気に入りのお店は?…メールでのやりとりやおゆみ野店でのお話し…こーひーレッスンでお宅にお邪魔したり…いつもイメージしています。

美味しさをもとめて…この春で40年になりますが…いまだにお客さんがどう感じるのか?を探る日々です。

焙煎指導していても…まずはその人の環境での基準を作って…そのとおりにきちんと焙煎できるようにします。まぁ、ひと月ふた月でだいぶ整います。すると…素材の良し悪しが分かってきます…焙煎がきちんと出来ていない時には素材の良し悪しがアバウトなんですね。

勿論、素晴らしい素材を使えば悪い素材よりは一見きれいな味わいに感じますが…少し劣る素材との違いが分からないんです。ロースティングポイントも1℃2℃の違いが大きな魅力の差にならないので気がつきません。(なので、さかもとこーひーにはハイローストとかシティローストフルシティローストといった見た目の色で判断する焙煎はしていません。もっと微妙な規準です。)

で、焙煎がきちんとしてくると…その時の素材の限界が理解できてきて…素晴らしい素材を使い慣れてくると、微妙なロースティングポイントの違いが分かり…ブレンドの妙も分かってきますね。



「この味を知ることができて幸せです。」…お客様にそう言ってもらえるようなこーひーをお届けしたいと思っています。





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Last updated  2014.03.02 21:52:58
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