「警察にて」



警察に到着して、長机に簡単な椅子が4つ程
並べられているだけの殺風景な部屋に通される。
暫くして担当されてる警察官の方が来た。
主人の容態を尋ねるがやはり教えてもらえない。
自宅を出てからずっと心臓がドキドキしてる。

簡単で事務的な質問を幾つかされてから・・・

「実は・・・ご主人、亡くなられたんです」

この人は何を言ってるのだろう・・・?
耳を疑う。口からは何とも言えない声が出た。
大きい事故だと聞いていた、それでもせめて集中治療室に
運ばれて治療して貰っているものだとばかり思っていたのに。

「確認して頂けますか?」

2人に両脇から支えられて歩いて行ったのは覚えている。
でも、頭の中が真っ白で何も考えられなかった。
警察の狭い通路を少し歩いて、外に出る。
そこは物置小屋のような小さい建物だった。
入ってすぐ目の前に、シートに包まれて横たえられている。
これは何?これがパパ?まだ信じられない。
顔を見せてもらう。
その瞬間、すがって泣き崩れた私。

数時間前「行ってらっしゃい!気を付けてね!!」
って笑顔で見送ったところなのに。
パパは車の中から手を振って、笑ってたのに。

どうやって、初めに通された部屋に帰ったのかは全く覚えてない。
家に送ってもらってから、起きて待っていた子供達と大泣きした。
自宅に帰ったのが午前6時頃。
30年以上生きてきて、今迄でこんなに長く感じられた
1時間はなかったし、きっとこれからもないと思う・・・。


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