死亡推定時刻



主人が大学病院で検死解剖される。
病院で待っていた時間の何と長く感じられた事か。
今、この時にでも主人の身体が切り刻まれているかと思うと
胸が張り裂けそうだった。何て残酷な時間だろう。

検死解剖が終わり、警察の方が検案書を持って部屋に来る。
てっきり解剖を担当した先生から説明を受けると思い込んでいたのに。
警察の説明は検案書に書かれている事をそのまま読んだだけのものだった。

交通事故とは言え、死亡した場所が「路上」となっているのを
見て悲しくて仕方がなかった・・・。

直接死因、非解放性心臓損傷。ほぼ即死状態。
検案書を見る限りでは、ありとあらゆる臓器が滅茶苦茶になっていた。
左脚は大腿骨から骨折。ほぼ原形をとどめておらず・・・。
事故現場でレスキューの人に助けられた時には既に心肺停止状態。
そのまま、蘇生処置を受けながら病院に搬送されたらしいが
その病院では死亡確認されただけだった。

横転事故を起こして後続のトラックに追突されただけで、
こんなにひどい状態になるものなのか?
説明を受けながら、どんなに痛かったろうか苦しかったろうかと
考えただけでも胸が苦しくて涙が止まらない。

そして死亡推定時刻を聞いた時、私は驚いた。
午前12時15分。
主人が同僚に電話していた、まさにその時間。
何故!?
流石にその話をすると警察の方も驚きを隠せないようだった。


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