ミステリの部屋

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2005年04月24日

銀扇座事件：太田忠司

カテゴリ：日本ミステリ（あ行作家）

狩野俊介シリーズの長編９作目です。
「月光亭事件」で名探偵、石神法全の事務所を引き継いだ野上英太郎のところに探偵見習いとして狩野俊介少年はやってきました。
石神法全から一番新しい友達と言う紹介を受けて。

飼い猫のジャンヌだけが心許せる友達だった彼でしたが、野上さんや、近所の喫茶店「紅梅」店員のアキちゃん、県警の高森警部とその部下の池田・武田などの人々と触れ合ううちにだんだんと心を開いていくのです。

孤独で繊細な少年俊介と男やもめの野上探偵の二人は、お互いを気使うがゆえに不器用な係わり合い方をしながら、時にはつまづいたり落ち込んだりしつつ距離を狭めていきます。

このシリーズでは二人が様々なトリックを解いて見事事件を解決していきますが、俊介の成長も描かれていると思います。

「銀扇座事件」は上・下2巻にわかれています。
著者が裏表紙に書いている通り、これは必然のことなのです。
というのが読んでみたらよ～くわかりました。

下巻を読み始めるとすぐに………。

大掛かりなトリックにはヒントが散りばめられていたのに
まったくわかりませんでした。
私は気持ちよくだまされました。

このシリーズは大好きなのですが、最初は表紙が子供っぽくて
手にとるのに抵抗がありました。
大人が読んでも十分面白いんですけどね。

俊介君はとにかくやさしい子です。
罪を犯した人にさえ手をさしのべるやさしさは、悲しいくらい心に残ります。

☆狩野俊介シリーズ

月光亭事件

夜叉沼事件
玄武塔事件
天霧家事件
降魔弓事件
白亜館事件

☆短編集
狩野俊介の冒険
狩野俊介の事件簿
狩野俊介の肖像

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