ミステリの部屋

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2005年05月23日

冷たい密室と博士たち：森博嗣

テーマ：ミステリはお好き？(1498)

カテゴリ：日本ミステリ（ま行作家）

同僚の誘いで低温度実験室を訪ねた犀川助教授とお嬢様学生の西之園萌絵。
だがその夜、衆人環視かつ密室状態の実験室の中で、男女二名の大学院生が死体となって発見された。
被害者は、そして犯人は、どうやって中に入ったのか！？人気の師弟コンビが事件を推理し真相に迫るが…。
究極の森ミステリィ第２弾。（表紙裏より）

なぜなのか考えてみたら、自分が積極的文系ではなくて消去法的文系だからです。際立って得意なものもないけれど、理系ではないから文系だと言っているようで……。

そこに劣等感があるからというわけではないでしょうが、今回も理系人間がたくさんでてきますがどの人もあまり好きになれません。

ただ「長調の男」喜多先生にはちょっと好感を持ちました。
「若いときから気障な男だった」というのもいいですね。フィクションの中では気障な人や自信家が結構好きだったりします。

この作品には、前作の「すべてがFになる」のようなインパクトはありませんが、ミステリとしてはオーソドックスで謎解きを楽しむことができました。

平面図があるとうれしくなります。昔から何度も図を見て楽しむ方なので、すっかり頭にに入るくらい見返しました。というより図がない場合にはまったくイメージがわかずにもどかしくなることが多いです。

前半は展開が面白くて夢中で読みました。
「試験で問われているのは、問題提出者の方である。」とか「成長とは、この世で最も不気味な運動だ。」などという言葉にひっかかりながら、ひっかかることを楽しんでいました。

一生懸命考えればぎろぎり方法は分かるトリックだと思いますが、犯人は絞り込めませんでした。用意されていたしかけにすっかりひっかかったというところでしょう。

動機にかかわることはもう一つでしたね。そうでなければいいんだけどな、という嫌な予感がまさに当たってしまったので残念です。

犀川先生と萌絵ちゃんにともまだなじんでいません。
萌絵ちゃんは今回暴走しすぎです、さらに叔父様まで……。日本の警察はどうなっているんでしょう。

ただ、これからのこのコンビはまだ見てみたいという気持ちにがあります。次作もたぶん読むでしょう。また違う面を見せてくれるのではないかと期待して。

一番気に入ったセリフがこれです。

「創平……。お前はもう死んでいるぞ」　　　　　

喜多先生は、名前が北斗ですから。