ミステリの部屋

ミステリの部屋

2005年07月28日
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カテゴリ: 海外ミステリ
最近気にいっている「世界探偵小説全集」(国書刊行会)の中の一冊です。

カーター・ディクスンは本名ジョン・ディクスン・カー、アメリカ生まれの探偵作家です。
G・K・チェスタトンに私淑し、不可能犯罪テーマに執念を燃やし、密室ものを数多く書いています。

この『一角獣殺人事件』は1935年に書かれたヘンリー・メリヴェール卿が登場する長編第4作です。


パリで休暇を楽しんでいたケン・ブレイクはひょんなことからおかしな事件に巻き込まれます。
世間を騒がす「怪盗フラマンド」は、謎の宝「一角獣」を奪い取ると新聞に予告状を送り付けていました。
それを受けてパリ警視庁の探偵ガスケは「受けて立つ」とコメントし、イギリス中が騒然としている中、一行の乗った飛行機が不時着し、嵐の古城に避難することになります。
誰がフラマンドで、誰がガスケか、という正体捜しのうちに、衆人環視の中で発生する殺人事件。
死体の額には鋭い角で突かれたような痕がありました。


ディクスン・カーで題名が一角獣とくれば、怪奇趣味の作品と思われるかもしれませんが、大柄な体格で体重は百キロという巨漢、その上大きな禿頭に小さな鋭い目、べっ甲の眼鏡がずり落ちる低い鼻、苦虫を噛みつぶした口、まん丸な仏陀のような顔……と描写されるH・M卿の登場するシリーズは
結構ユーモアがちりばめられており、ドタバタと言ってもいいくらいの展開です。

とはいえフランスの古城、稀代の怪盗、覆面探偵、伝説の怪獣、この現実感のなさは、読み手をまったく別の世界に連れて行ってくれます。

平面図好きにはうれしいことに、古城の平面図がありました。
ワンフロアに10部屋以上もある城なんて、図でもないと想像できませんから。

橋が流されたことで外界と隔離されたその古城にて、誰が怪盗で誰が探偵かという疑心暗鬼に囚われていく場面がとても面白かったのですが、地震騒ぎもあってたびたび読むのを中断しているうちに、二転三転する内容にわけがわからなくなってしまいました。
不覚でした。
こういものは一気に読まないとだめですね。

一角獣殺人事件: カーター・ディクソン









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最終更新日  2005年08月22日 18時54分46秒
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