ミステリの部屋

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2005年09月21日

煙か土か食い物：舞城王太郎

(6)

テーマ：ミステリはお好き？(1576)

カテゴリ：日本ミステリ

すごいものを読んでしまった、という気持ちでしばし呆然。

表紙がヘビ柄です。
直接持ちたくないのでカバーをつけて読むことにしました。

読み始めた途端、パンクロックのリズムが延々と続いてくような、圧倒的スピードに乗せられて、一気に読んでしまいました。

なかなか改行のこない文章は息継ぎのない歌のように、チャッチャッ早く早くと先を急ぎます。

サンディエゴのERで働く腕利きの外科医、奈津川四郎のもとに、母親が殴られ重体だという知らせが入ります。
母親は連続主婦殴打生き埋め事件の被害者でした。
すぐに福井の実家に戻った四郎は復讐を誓い、すぐに独自の捜査と推理を始めます。

モテモテで優秀な四郎は頭もよく、難しい推理もどんどん勝手に解きあかしていきます。けれども、その家族は普通ではありませんでした。

中盤で語られるのは奈津川家の暴力と虐待の歴史です。
それはもう異常な悲惨な光景の連続です。
これでもかというくらいに描かれます。
テレビでも暴力シーンはさけている私にはつらかったです。
圧倒的暴力、しかも加害者も被害者も身内という逃れられない状況。
理解を超えている、と投げ出したい気持ちになるけれど、現実にもあることなんですよね。

そして、終盤、事件も最終局面を迎えて家族も集合し、やっぱり暴力と血の壮絶なシーンが……

でも、信じられないことに、ちょっとほろっとしたりしました。

そしてあっけなく終わり。

友人の「面白かったよ。」という言葉で何気なく手にした本でしたが、強烈でした。