000000

ホーム | 日記 | プロフィール

【フォローする】【ログイン】

ミステリの部屋

< 新しい記事

新着記事一覧(全1108件)

過去の記事 >

2006年09月11日

誰か：宮部みゆき

(10)

テーマ：ミステリはお好き？(1498)

カテゴリ：日本ミステリ（ま行作家）

宮部みゆきさんの作品を読むのは久しぶりです。『ブレイブ・ストーリー』まで読んでいたはずですから、3年半ぶりくらいです。

これまで読んだ中で一番好きなのは、『我らが隣人の犯罪』に収録された短編「サボテンの花」、ずしんと心に響いた『火車』、時代物では『あかんべえ』でした。

先日、夫が最新作の『名もなき毒』を買ってきたので、同じシリーズの『誰か』を読んでおくべきかと、夫が単身赴任先から持ち帰った本の中から探し出してきました。

広報室で働く編集者・杉村三郎は、義父である会長から遺された娘二人の相談相手に指名される。
妹の梨子が父親の思い出を本にして、犯人を見つけるきっかけにしたいというのだ。
しかし姉の聡美は出版に反対している。
聡美は三郎に、幼い頃の“誘拐”事件と、父の死に対する疑念を打ち明けるが、妹には内緒にしてほしいと訴えた。
姉妹の相反する思いに突き動かされるように、梶田の人生をたどり直す三郎だったが…。

今多コンツェルンの広報室に勤める杉村三郎は35歳。
やさしくて美人の奥さんと、かわいい娘がいる、ごく平凡なサラリーマン……
ではありません。
目立つつもりもないのに、普通に見てもらえないのは、奥さんの父親が今多コンツェルンの会長、今多義親だからです。

そのために、しなくてもいい苦労までしながら、会長の運転手のひき逃げ事件について調べていく話ですが、これまでの作品と同じように、やめられずに読み通しました。

ただ、次第にわかってくる過去や、事件のてん末よりも、彼が関わる人たちのことの方が印象に残りました。

ここで思ったこと。
主人公はお人好しで善人だし、見るからに幸せそうな家庭を持っています。
いくら義父のことが煙たく、それなりに悩みがあるとはいえ、私には絵空事に感じられるくらいでした。
その存在だけで羨まれ、妬まれるという人間を主人公に持ってきたのには大きな意味があったのではないかということ。

毒が際立つから……。

タイトルから想像すると、このテーマは『名もなき毒』にも繋がっていくのでしょうか。

誰か　：　宮部みゆき

お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう

最終更新日 2006年09月11日 17時30分16秒
コメント(10) | コメントを書く

[日本ミステリ（ま行作家）] カテゴリの最新記事

■コメント

Re:誰か：宮部みゆき(09/11)

ron-pearl さん

大の宮部みゆきフアンの私ですが「誰か」の読後感に打ちのめされて「名もなき毒」を読む気になれないでいます。
「人間の嫌～な面をみせられたという気がします。できれば見たくないくらい。」同感です。

それでも新聞に大きく広告が載ると・・ともかく本は買つて読む気になるまで待とうかなと思ったりしています。 (2006年09月11日 20時31分50秒)

返事を書く

Re[1]:誰か：宮部みゆき(09/11)

samiado さん

ron-pearlさんこんばんは！

＞大の宮部みゆきフアンの私ですが「誰か」の読後感に打ちのめされて「名もなき毒」を読む気になれないでいます。
＞「人間の嫌～な面をみせられたという気がします。できれば見たくないくらい。」同感です。

余りに後味が悪かったですね。宮部さんの作品は久しぶりに読んだのですが、驚きました。

＞それでも新聞に大きく広告が載ると・・ともかく本は買つて読む気になるまで待とうかなと思ったりしています。

「名もなき毒」は手元にあります。宮部さんがどこに向かわれているのかを知るためにも読んでみたいと思います。 (2006年09月11日 23時45分11秒)

返事を書く

Re:誰か：宮部みゆき(09/11)

ときあさぎさん

私も前に読んだとき、その読後感の悪さにため息がでました。
たぶん、これも宮部みゆきの進化なのかなとも思ったりもしました。
彼女が時代物やファンタジーも多く平行して書くようになったのもそのへんにわけがあるのかも。
(2006年09月12日 00時28分55秒)

返事を書く

Re[1]:誰か：宮部みゆき(09/11)

samiado さん

ときあさぎさん、こんにちは！

＞私も前に読んだとき、その読後感の悪さにため息がでました。

ときあさぎさんも、やはりそうでしたか。

＞たぶん、これも宮部みゆきの進化なのかなとも思ったりもしました。
＞彼女が時代物やファンタジーも多く平行して書くようになったのもそのへんにわけがあるのかも。

確かに近頃は時代物やファンタジーが多かったですね。
進化なのでしょうか。私は進化の過程でも、少しはほっとできる話が欲しいと思ってしまいます。 (2006年09月12日 16時18分02秒)

返事を書く

はじめまして

着物大陸さん

宮部さんの毒の部分が染み出ていた作品でしたね。
姉妹って張り合うものなのでしょうか？
一番近くにいる存在だからかな？
二人とも大事に育ててきた両親が気の毒ですね。
TBさせてくださいね！ (2008年12月05日 11時33分35秒)

返事を書く

Re:はじめまして(09/11)

samiado さん

着物大陸さん、はじめまして！
TB有難うございます♪

＞宮部さんの毒の部分が染み出ていた作品でしたね。
＞姉妹って張り合うものなのでしょうか？
＞一番近くにいる存在だからかな？
＞二人とも大事に育ててきた両親が気の毒ですね。

人間誰しも毒の部分はあるのでしょうが、姉妹は近くにいるだけに、色々なことを比べ始めると、闇に落ちてしまう可能性もないとはいえないような気がします。とっても哀しいことですが。
(2008年12月05日 11時59分00秒)

返事を書く

誰かでは，ないのですが…

アルビレオさん

宮部みゆきさんの「あかんべえ」を読み終えました。すごく良かったので，samiadoさんに言いたくなりました。どこかにsamiadoさんの感想があると読みたいです。次は，「ぼんくら」か「サボテンの花」「火車」か読もうと思ってます。予約しないとなかなかてに入りませんよね。 (2010年11月21日 13時12分02秒)

返事を書く

Re:誰かでは，ないのですが…(09/11)

samiado さん

アルビレオさん、こんにちは！
「あかんべえ」良かったですか？嬉しいです、とても好きな作品なので。
かなり前に読んだので、感想は書いていないんですよ。記憶も薄れてきていると思うので、もう一度読みたくなりました。
これまで読んだ宮部さんの時代ものは、全部良かった、と思います。 (2010年11月22日 17時20分07秒)

返事を書く

誰かではないんですけど・・・

アルビレオさん

「火車」読みました。ってここに書いてもいいですか？って書いてますけど。てっきり時代物かと思ってたら違ったんですね。私たちは、生まれ落ちたところで自分を生き抜くしかないのか。自分から逃げることができない。でもあまりに生きづらい環境だったら・・・。あの方法以外に幸せになる方法はなかったのか。切なかったです。 (2011年01月11日 00時08分57秒)

返事を書く

Re:誰かではないんですけど・・・(09/11)

samiado さん

アルビレオさん、こんばんは！

＞「火車」読みました。ってここに書いてもいいですか？って書いてますけど。てっきり時代物かと思ってたら違ったんですね。私たちは、生まれ落ちたところで自分を生き抜くしかないのか。自分から逃げることができない。でもあまりに生きづらい環境だったら・・・。あの方法以外に幸せになる方法はなかったのか。切なかったです。

強烈な読後感を残す作品でした。かなり前に読んだのですが、今でも最後のシーンが忘れられません。『火車』は傑作だと、ずーっと思っています。
(2011年01月11日 20時56分13秒)

返事を書く