ミステリの部屋

ミステリの部屋

2007年06月22日
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膨大な書物を暗記するちから、遠くの出来事を知るちから、近い将来を見通すちから―「常野」から来たといわれる彼らには、みなそれぞれ不思議な能力があった。

彼らは何のために存在し、どこへ帰っていこうとしているのか?
不思議な優しさと淡い哀しみに満ちた、常野一族をめぐる連作短編集。
優しさに満ちた壮大なファンタジーの序章。

(「BOOK」データベースより)



恩田陸さんの作品を読んだのは、友人に薦められたことがきっかけでした。
初めて手に取ったのが『 球形の季節 』、ミステリだとばかり思って読みはじめたら、話がSFらしい方向に行ってしまうので驚きました。

恩田さんは、読むたびにジャンルが違うくらい色々な世界を見せてくれます。この『光の帝国』は、不思議な能力を持つ常野一族の人たちをめぐる短編集。SFともファンタジーとも言い切れない、昔話のような懐かしさのある物語です。

「常に在野にあれ」という意味の名前を持つ常野一族は、遠くの音が聞こえる力や空を飛ぶ力や早く走る力など、人にはない力を持ちながら、決して表に出ることをせず、各地で穏やかに暮らしています。

もしも彼らがひっそりと暮らしていなかったらどうなるか、考えるのが怖くなります。
人はなかなか自分たちと違うものを認めようとしてこなかったから。

案の定、その能力を戦争に利用しようとする人間が出てきます。


それでも決して希望は失われません。
ツル先生をはじめとする、彼らの真摯な生き方に癒されるような気がします。
切ない気持ちもいつか、ほのぼのとした静かな優しさに包まれていました。

優しいということは強いことなのですね。

この短編集には色々な人が主人公の色々な話がありますが、どこかで少しずつつながっています。
この先どうなるかが気になる話ばかりですが、今のところ続編としては、「しまう」能力を持つ春田一家の話である「 蒲公英草紙 」、「裏返す」能力を持つ拝島一家の話である「 エンド・ゲーム 」が書かれています。
まだまだきっと、この世界は広がっていくのだと思います。

これはおすすめです。

光の帝国:恩田陸








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最終更新日  2007年06月23日 10時46分30秒
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