ミステリの部屋

< 新しい記事

新着記事一覧(全1108件)

過去の記事 >

2007年11月22日

片眼の猿：道尾秀介

(4)

テーマ：ミステリはお好き？(1498)

カテゴリ：日本ミステリ（ま行作家）

今はある産業スパイについての仕事をしている。
地味だが報酬が破格なのだ。楽勝、と思いきや、いつの間にか殺人事件に巻き込まれてしまった――。
サプライズ・マジシャン道尾秀介が周到に張り巡らす読書の罠。
見逃すな！　仕掛けは至るところに潜んでいる。
（出版社より）

谷口楽器からの依頼で、ライバルメーカーのデザイン盗用疑惑を調査していますが、調査の過程で殺人事件に巻き込まれてしまいます。
ストーリーは結構シンプルです。

道尾さんには珍しく、軽妙でユーモアテイストの文章はかなりとっつきやすい感じがします。
ところが実はこの作品には、そこかしこに数えきれないくらいの仕掛けが張り巡らされています。
それらの仕掛けにはすぐわかる物もあれば、まったく見抜けない物もありました。
作者のたくらみにだまされて、私はありえないような物を想像していたこともありました。

登場人物の一人がトランプ占いをするのですが、選び出されたトランプの図柄が提示されています。それを読み解こうと色々考えるのも楽しかったです。

これまでにないタイプのミステリでしたが、最後まで面白く読むことができました。

これ以上は言わない方がいいようです。
ネタばれすると面白さは半減しますからね。

ただ、読み終わったあとで再読して、自分がいかに違うものを見せられていたかを確かめたくなるような作品でした。

講演会で道尾さんが仰っておられたように、テーマは大変わかりやすかったです。
人によって感じることも違うだろうし、テーマについて語り足りないという人も、語りすぎだという人もいるのではないかと思います。
とはいえ、こういうテーマを選んだことで、ますます道尾さんが好きになりました。