窓辺でお茶を

窓辺でお茶を

October 15, 2006
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カテゴリ: 展覧会
 上野にて「ミイラと古代エジプト展」(国立科学博物館)と「ベルギー王立美術館展」(国立西洋美術館)を見てきました。

「ミイラと古代エジプト展」 は2日前までに日時指定で券を買っておきます。売り切れていなければ、当日券でもはいれます。(300円プラス)

 まず、入り口で立体メガネを貰い、5分案内のビデオを見て、そのあと3Dシアターに入ります。メガネをかけて見ると、エジプト文字が浮き上がってきたり、棺が立体的に見えたりします。ミイラは一度布をとってしまうと、もとどおりにできないので、ほどかないまま、CTスキャンデータをもとにコンピューターグラフィックスで映像を作っています。

 ミイラはネスペルエンネブウという名の神官で、亡くなったのは40代、かなり進行した虫歯が1本あり、頭蓋骨に外傷ではない、内側からの穴があるので、脳腫瘍かなにかだったと考えられるということでした。猛烈な痛みに悩まされた晩年だったのではないかと同情してしまいます。
ミイラの内部にはいってみる映像もありました。ジェットコースターみたいにヒューッと移動する映像はちょっとくらくらします。

 シアターを出ると、展示室があります。石碑や副葬品、金とビーズのアクセサリー、猫のミイラとハヤブサのミイラなど。どうやら3Dシアター用メガネも副葬品のデザインを真似たもののようです。

 昼食をとって一休みしてから、西洋美術館の 「ベルギー王立美術館展」 を見ました。


 ヨルダーンスのガラスや果物の質感表現の巧みさに舌を巻き、ブリューゲルのちょっととぼけたような奇妙な世界に狐につままれたような気分になり… 「イカロスの墜落」(ピーター・ブリューゲル父作かどうかには異論があるらしい)なんて、画面右下でイカロスと思われる足が海面から出てもがいているのに、左側の小高くなっているところにいる農夫は気がつかないのか、あるいは不自然なくらい下を向いているようにも思えるので見なかったことにしているのか、畑を耕して日常生活に埋没しています。その向こう、画面中央の羊飼いは空を見上げていますが太陽にもイカロスにも背を向けています。

 19世紀、ルイ・ガレの「芸術と自由」という題の絵は楽器を持ってぼろぼろの服を着た若者が描かれていました。いつの世も、難しいのですね。

 アンソールはやはり不気味ですが、前にブリジストン美術館で見たスピリアールトは点数が少なかったせいか、そのときほど不安をかき立てられませんでした。

 私が好きになったのは、クノップフの「シューマンを聴きながら」と「ジェルメーヌ・ヴィーナーの肖像」です。「シューマン」は、黒い服の女性が物思いに沈んでいるのか、泣いているのか、そして左端にピアノを弾く男性の右手だけが見えます。こちらで見られます。 近代油彩

 ジェルメーヌの方は夢見るような瞳の幼い少女です。おとなになってもこの瞳は変わらなかったに違いない、となぜか確信させるのです。

 有名なルネ・マグリットの「光の帝国」は印刷だと昼間の逆光のようにも見えるのですが、実物は完全に夜と昼が合体した奇妙な絵です。今の時代にはマグリットより絵がうまい人はいくらもいるし、プロジェクターやCGも使えますが、最初に思いついた人はやはり偉大です。

 どちらもけっこう混雑していました。





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最終更新日  October 15, 2006 01:55:54 PM
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