よんきゅ部屋

よんきゅ部屋

Mar 6, 2006
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カテゴリ: オーケストラ
昨日聴きに行った関西フィルの「悲愴」からいろいろと触発されるものがあった。「この部分はこんな感じだったよな」などと思い出しながら、スコアを眺めてみた。

私の場合、弦楽器を弾くこともあって、どうしても弦楽器の弾き方や音にどうしても注目してしまう。舞台横の席だと、どうしても弦楽器の音がダイレクトにきこえてきてしまうので、全体のブレンド具合を最高の条件で聴くというわけにはいかなかったが、今回はそれを逆手に取って「一緒に弾いているつもり」で聴いていた。

プロとアマチュアの演奏で最も違うと感じるのは、弱音が指定されている部分の処理だ。p(ピアノ)の指定があっても、旋律を担当する楽器の音質はとてもクリアだし、決して縮こまった音にはなっていない。それぞれのパートが役割をきっちり理解した上で演奏されていることがよくわかる。われわれがやっていてよくあるのは、「pって書いてあるから」といって、どうしても音が小さくなってしまうことだ(これは理解しているはずの自分でもたまにやってしまう)。弓を飛ばして弾く音も、絶妙のバランスだ。

もう一つ違うのは、1小節の拍が味気なく一定になってしまう(メトロノームにひたすら合わせたときのように)という場面がないことだ。それぞれの音の持つ役割に応じて自由自在の「ゆらぎ」が作り出されている。これは、その場面で必要なエネルギーに応じたもので、聴いている方としてもとても自然に感じる。作り手としては理解していなければならないことなのだろうなと感じた。そのためには、弾く側が「ひるまない」ことも大事だろう。

演奏中に感じたことを少し書いてみよう。第1楽章の第2主題や、第4楽章の中間部は、「これぞ悲愴!」という場所だが、こういうところがやはりすごい。

第1楽章については、特に1回目に弱音器付きで「優しく、壮大に、たくさん歌って」という指示があるのだが、これをやるのは本当に難しい。昨日の演奏では、最初の音が弱音で出た瞬間にしびれた。この独特の間はライブでしか味わえないよさを持っている。ああいうのをできるようになってみたい。2回目にこの旋律が出てくるときには弱音器を外して、mfの指定。ここでオケの音は1回目と全く違った表情を見せる。遠くにあった広い世界が今度は目前に広がるような感覚。オケの音がとても立体的にきこえるのも、ライブならではだろう。その後また、だんだん遠ざかっていく音の処理もとてもなめらか、自分がいつも弾いている感覚とかなり違った。もちろん、この演奏の方が断然いいので、これも参考にしたい。

第4楽章については、中間部がやっぱりたまらん!と、その前にあるファゴットの裏でヴァイオリンが弾くGの開放弦の音がとても効果的であると感じた。これを感じられるのもライブならではかもしれない。チャイコフスキーは開放弦の使い方が抜群にうまいという話を聞いたことがあるが、これもそのひとつだろう。話を中間部に戻そう。ホルンの特徴的なリズムに乗って、ヴァイオリンとヴィオラがオクターブで出てくるところは本当にしびれる(優しく、祈るように)。単純な音型なので、これだけだと面白くないのだが、低弦や木管楽器に出てくるちょっとひねった音がなんとも気持ちをくすぐる。さらに同じ旋律が繰り返されているが、どんどん参加するパートが増えていき、2オクターブ(つまり3種類の高さで同じ音型)重なって音も強くなった最高潮のところで全パートで炸裂し、一気にそれまでの雰囲気が崩れ落ちてしまうのだ。単純な素材からここまでやるか...おそるべきチャイコフスキーという感じ。この盛り上がり方はオケの力量を問われそうだ。

その後の転落していくかのような場所は、中間部が時間をかけて盛り上がるのとは違って、急いでせき立てるように音楽が進行していく。しかも音符はどんどん細かくなっていくのだが、そこで突然後ろから何かに引っ張られるように「重く」という指示が出てくる。それまでに勢いがついているので、それに対抗する引っ張り方になっているのだろう。そこから金管がひたすら上行音型、本当に何かを叫んでいるかのようだ。ライブで聴いていると本当に胸が張り裂けそうな感覚になる。

そして、最後の部分、昨日印象的だったのはコントラバスの音。最後は静かに終わるというイメージだが、一番最後の長くのびた音になってしまう直前までのリズムは生きていた。3連符が2連符になって、さらに長い間隔をおいたピチカートがあって、それでもまだ心臓は動いているような感じ...最後にすべてが止まってしまう...これを表現してしまったら、後に何もできないというのは当然だろうと思う。






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Last updated  Mar 6, 2006 11:14:42 PM
コメント(8) | コメントを書く


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Re:「悲愴」ライブから感じ取ったこと(03/06)  
にゃお10  さん
指揮者の藤岡さんも言っておられたことですけど、チャイコフスキーって単純な音階、
あるいは旋律で聴く者や、さらには自ら演奏する者まで感動させることができた作曲家なんですね。
これは、ただ単純なだけではなくて、緻密に各楽器の音を重ねて美しい旋律にして聴かせる、
確かにチャイコフスキーはすごい音楽家です。

この曲を初めて聴いた時は、実はそれほどいいとは思いませんでした。随分と前の話ですけど……。
でも、聴く回数を重ねていくうちに親しみを感じることができました。
また、作曲した時の背景や作者自身の心情について知ったとき、この作品に対する愛着が増しました。
さらに、実際にライブ演奏を聴いてCD等とは違う新たな感動を覚えたり、
その後に聴いた曲を分析したりして、改めてこの曲の偉大さに気付いたりもしています。 (Mar 7, 2006 11:10:19 AM)

おおおっ!  
魔神8888  さん
関西フィルを見に行かれていたんですね~、たまたま違うブログでも見に行ってる方が見えて、これは偶然だな~って思いまして、世界も広くないですね。
藤岡氏というと熱血というイメージが強く、見た感じも体育会系に感じますね。チャイコの悲愴は壮絶を気周りますよね、落胆さが激しいといいますか、シューマンとは違う、突発的なことが多いですね。今日も朝からストコフスキーのチャイ6を聞いてしまいました(偶然ですけど)。 (Mar 7, 2006 12:51:21 PM)

Re[1]:「悲愴」ライブから感じ取ったこと(03/06)  
よんきゅ  さん
にゃお10さん

チャイコフスキーって、やっぱりいろいろ聴いてみても、ことごとく音階の固まりなんですよね。しかも、メインの旋律で堂々と使われているところがすごいです。やっぱり、和音と楽器の使い方かなと思いますね。

「本当に悲しいときには暗い曲は書かない」と藤岡さんが言っておられましたが、第4楽章の中間部などはまさにそれという感じですよね。悲しい現実を認めたくなかったり、他人に気づかれたくなかったりして無理をしているときにこの場所を聴いてしまったら参ってしまいそうです。

かくいう私も、実は最初に悲愴を聴いたときには、あまり好きになれなかったんですよね。楽器を始めたころは派手で楽しいのが好きでしたから。そう考えると、クラシックって聴きこんでいくほど、知れば知るほど楽しいですよね。 (Mar 7, 2006 02:47:29 PM)

Re:おおおっ!(03/06)  
よんきゅ  さん
魔神8888さん

藤岡さんの演奏は熱かったです。でも、無理をしている感じではなく、オケをきっちりリードしている感じがしました。プロの指揮者って、本当にすごいですね。

「悲愴」は本当にすさまじい曲ですね。といっても、破綻スレスレを狙っているマーラーとかとはまた違うのですが。かっちりとした美しさを失わない(泣いでぐしゃぐしゃになった顔を見せないという感じでしょうか)中で、悲しさを表現したひとつの到達点なのかなという気がします。本当に、いい曲ですよね。 (Mar 7, 2006 02:54:20 PM)

Re:「悲愴」ライブから感じ取ったこと(03/06)  
♯simopapa♭  さん
こんにちは。
こちらのブログにもコメントありがとうございました。
今日の通勤のBGMが「悲愴」でした。
指揮はゲルギエフです。

この曲は他の方も書かれていますが、聴けば聴くほどその良さが分かるものと思います。
それに悲愴は絶対絶対生で聴いてこそその良さが分かるような気がします。

一昨年ヤンソンス指揮のコンセルトヘボウで聴いたときの4楽章が最高でした。
うぅ・・・また生で聴きたいです。 (Mar 7, 2006 06:57:30 PM)

Re:「悲愴」ライブから感じ取ったこと(03/06)  
nekovi  さん
>泣いでぐしゃぐしゃになった顔を見せないという感じでしょうか

同感です。(笑

私も最初この曲をあまり好きになれませんでした。
ただ、ハマると深い曲ですね。
レコードマニアの中には150種類のLP・CDを集めた人もいるそうです!!?? (Mar 7, 2006 07:54:24 PM)

Re[1]:「悲愴」ライブから感じ取ったこと(03/06)  
よんきゅ  さん
♯simopapa♭さん

コメントありがとうございます。
最近、毎日「悲愴」を聴いています。ゲルギエフの演奏をMP3プレーヤーに入れているので、移動中はこれを聴いています。迫力があって好きなのですが、テンポを比較的自由に揺らすので、曲の勉強にはちょっと苦労です。自宅で聴くときには、ヤンソンスの演奏を聴いています。ゲルギエフほどの「うねり」はないのですが、クリアに鳴らしている感じなので、勉強するにはちょうどよい感じです。

でも、やっぱりこの曲はライブがいいですね。CDではカットされる音域もすべてきこえるのですから、迫力が違いますね。空気の揺れを感じてこそだと思ってしまいました。ヤンソンスをライブでとは、うらやましい限りです。 (Mar 7, 2006 09:01:57 PM)

Re[1]:「悲愴」ライブから感じ取ったこと(03/06)  
よんきゅ  さん
nekoviさん

>私も最初この曲をあまり好きになれませんでした。

そういう方がけっこういらっしゃるのは意外でした。でも、これでクラシックに目覚めたとしたら、逆にすごいことなのかもしれないですね。

本当に深い曲だなと思いました。昨年、交響曲の4番をやりましたが、それよりも数段深いものを感じてしまいますね(4番ももちろん好きだし、深けりゃいいってものでもないのですが)。150種類!?とはすごいですね。私が持っているのは、そのわずか30分の1です(笑)。 (Mar 7, 2006 09:06:29 PM)

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