73年に大統領選挙に出たペロンは、副大統領にイザベルを指名する。さまざまな政治勢力を牽制する人事だったが、当選したペロン大統領が帰国1年で病死すると、イザベルの運命は大転回する。女性大統領として就任したのである。イザベル政権は2年続くが、石油ショックによって300%を超えるインフレに見舞われ、経済危機に立たされる。左翼テロと政治的混乱によって統治能力を失ったイザベル政権に対して、軍部がクーデターを起こして権力を奪った。逮捕されたイザベルは横領罪で5年間収監されたのである。釈放されるとスペインに帰国して余生を過ごしていた。
統治能力のないイザベルが大統領に就任したことがアルゼンチンの不幸だったといってよい。反対派はテロやデモで政権をゆすぶり、恐怖におびえたイザベルは反対派の弾圧に動いたといわれる。政治情勢に対応できない大統領の無能ぶりに怒った軍部がクーデターを起こし、イザベル政権を崩壊させた。混乱したアルゼンチンの政治情勢の中で、イザベル時代にも多くの行方不明者が生まれている。アルゼンチンの司法当局は、当時の事件の捜査を行う過程で、イザベルを国際指名手配していたのである。はたして運命のアルゼンチンに送還されるのであろうか。
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