アロンソとハミルトンがフェラーリのタイヤ・データを使用してテストを行ったとすれば、無罪というわけにはいかないだろう。これが事実と認定されると、マクラーレンは07年後半と08年の2年間出場停止になり、二人のドライバーもF1レースに出ることは事実上できなくなる。もちろん、今年度のチャンピオンポイントも剥奪されるから、07年度はフェラーリの優勝という幕引きになる。この事実が政治的な思惑と考えられている背景にある。スポーツ競技としての司法判断を下すのか、それともFIAの政治的な思惑で判断されるかを問われているのだが、先行きは読めない。
前回行われたFIAの査問では、スパイ行為はマイク・コフラン個人の犯罪であり、チームとしてのマクラーレンは関与しておらず、無罪ということになった。フェラーリのデータを使用していないということが判断の根拠になっていたので、テストでフェラーリのタイヤデータが使用されていたとすれば、マクラーレンに反論の余地はなくなる。その証拠はデ・ラ・ロサとアロンソのメールに残されていたとする情報も流されているので驚かされる。
ポイントの剥奪と出場停止が決まると、F1世界に大混乱が起きることは避けられない。マクラーレンがF1活動を2年間停止すれば、スポンサーなどの資金も途絶えて、チームは解体の危機に立たされる。マクラーレンを救済する方法は、08年度から出場するプロドライブにスタッフとドライバーを移すというアイデアくらいしかない。マクラーレンが活動を停止しても、プロドライブとして代理運営すれば、組織の崩壊を防ぐことができる。もちろん、フェラーリ側は反発するだろうし、FIA首脳が代理運営を認めるかも疑問になる。
マクラーレンが1年半に渡って活動を停止すると、かなりの数の犠牲者も出ることになるだろう。スポンサー資金が途絶えて、財務体質が悪化する。人員やスタッフを解雇すると、F1に復帰したときにレースができない。開発部門も設計を続けていないと技術の進歩に取り残される。スポンサー資金が途絶えると、場合によってはマクラーレン売却という話が起きる可能性がある。FIAが有罪の判決を下すと、これだけの犠牲者が発生するとなれば、政治的な収拾策が始まる可能性もある。エクレストンも影で動き始めるだろう。そうなると、FIAの最終判断がどうなるかを読むことは難しい。追い詰められたマクラーレンはどこに向かうのだろうか。